近年、不動産投資の対象として東京の物件に注目が集まっています。一般的に「物件が高いイメージ」が先行している東京ですが、なぜ、投資先として魅力的なのでしょうか? さまざまなデータから解説した上で、東京の不動産投資の最新事情、おすすめの地区、注意すべき地区について、お伝えしていきます。

なぜ、東京は不動産投資に魅力的な都市なのか?

2020年の東京オリンピックが終了した後、不動産市場はどのように変化するのでしょうか?

アメリカ大手の不動産情報提供会社「ジョーンズ ラング ラサール(JLL)」の2018年の『国際都市競争力インデックス』の調査レポートによれば、東京は、不動産投資の観点から見た世界の各都市ランキングで最も魅力的な都市ビッグ7に入り、総合順位5位にランクインしました。ビッグ7とは、世界中の商業用不動産投資に使われる金額の4分の1を占める投資先であり、多国籍企業や国境を超えて投資を行うクロスボーダー投資家たちが集中的に投資対象としている都市のことです。

なぜ、東京が国際的にもこれほど高い評価を受けているのか。その理由を不動産投資の視点から解説していきます。

都市の総合力の向上

森記念財団が運営する都市戦略研究所が発表した『世界の都市総合力ランキング(GPCI) 2017』で、東京は初めて3位にランクインしました。

GPCIは、「経済/研究・開発/文化・交流/居住/環境/交通・アクセス」の6分野から都市の総合的な力を評価するランキングです。このGPCIで東京は、訪日観光客数や留学生の増加などの「文化・交流」分野や、「交通・アクセス」分野でスコアを伸ばしています。

都市としての評価が高まれば、その都市の不動産の価値も高まります。都市の総合評価が世界3位にランキングされている東京の不動産の価値は、不動産投資における大きなアドバンテージとなるでしょう。

インフラ整備と東京再開発の動き

現在の東京では、2020年の東京オリンピックに向けて訪日観光客を受け入れるインバウンド市場の整備やインフラの再整備が盛んに行われています。

実はオリンピック後の2020年以降も東京の再開発は継続される見込みで、23区内のさまざまなエリアにおける再開発が計画されています。特に中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区、千代田区、江東区、品川区の8区は再開発の中心となります。なぜなら、オリンピックのための整備という理由のほかに、これらの地域では既存の建築物が古く、防災機能の向上を目的とした刷新が求められているという背景があるからです。

今後も継続して開発が予定されている東京は、オリンピック以後も引き続き発展が予測されています。

東京の今後の人口推移と人口流入

不動産投資において何よりも大切なのは、何といっても人口の多さです。

東京は日本で最も人口密度の高い都市です。東京都総務局統計部が発表した『東京都区市町村別人口の予測』によると、東京の人口は全体としては2025年、23区に限定すれば2030年に人口のピークを迎えると予測されています。日本全体の人口減が避けられない中、人口が集中すると予測される東京は、これから不動産投資を行う上で最適の場所といえるでしょう。

また、東京の人口の推移について、総務省統計局によって公表された『住民基本台帳人口移動報告 平成30年(2018年)結果』によれば、転入超過数(転入者数-転出者数)は79844人と、都道府県別に見ると、最も多い数字です。

地方から東京をはじめとする大都市への人口流入傾向は今後も続くと予想されており、東京で不動産投資をする上で好材料となっています。

東京の不動産投資事情

ここでは、投資用物件の価格推移や人気の物件など、東京の不動産投資の最新事情をご紹介していきます。東京の投資用マンションの価格推移と、人気のある物件タイプについて確認していきましょう。

東京の不動産価格帯

不動産経済研究所による調査レポート『2018年上期及び2017年年間の首都圏投資用マンション市場動向』によれば、2018年上期(1月~6月)の投資用マンション供給数は93物件(4623戸)で、前年同期の60物件(3222戸)と比較すると物件数は55%増、戸数は43.5%増と、全体として約1.5倍の増加となっています。

投資用マンションの平均価格は3088万円で前年同期の2826万円に比べて9.3%増加、㎡単価は116.2万円で前年同期の111.9万円から4.3万円(3.8%)増加しています。また、2017年の投資用マンションの平均価格は2829万円となり、2016年の平均価格2788万円に比べて41万円(1.5%)増加しました。

東京の投資用マンションの価格はリーマンショックのあった2008年に大きく下落し、その後も下落傾向が続いたものの、2011年以降は年々上昇しています。データからもわかる通り、東京の不動産価格は年々増加傾向にあり、今後もこの傾向は続くと予想されています。

単身者向けのワンルームマンションが人気

東京には多くの人口が流入していますが、中でも単身者の数は多く、2017年の国勢調査『人口等基本集計』によれば、東京の単独世帯は3164675世帯で一般世帯の47.39%を占めています。

東京の各区には「ワンルーム条例」とも呼ばれるワンルームマンション建築に対する規制があり、新規の単身者向けのワンルームマンションの建設を抑制しています。この規制は、住民票を移動しない単独世帯が増加すると、「区の税収が見込めない」「地域の活動に参加しない単身世帯の増加が地域コミュニティに悪影響を与える」などを懸念して制定されました。

以上のように東京では新規のワンルーム物件の増加が抑制されており、その結果、現在あるワンルームマンションへの需要が増すため、入居者の募集には困りません。ただし、ワンルームマンション投資は利回りが低いため、短期的に大きく利益を出す形の投資ではなく、長期的に運用していくタイプの投資だという点に留意しましょう。もし、東京で利回りが良い物件を購入したい場合は、東京郊外の都市が狙い目です。

東京で人気のある地区、避けた方がよい地区

この章では、東京の不動産に関する最新情報を基に、不動産投資をする上で気になる人気の街と、東京で物件を買う際に注意すべき点について、解説していきます。

 

不動産は、同じ地域内でも場所によって大きく条件が異なり、さらにいえば同じようなマンションでも条件は違います。とはいえ、地域ごとの特徴は確かにあります。大切なのは、物件がある地域についての最新情報と、物件という個別の条件を踏まえた上で投資するかどうかを判断することです。

立地の選び方に関する重要なポイント3つ

不動産はなんといっても立地が命です。不動産投資で失敗しないために、投資しようとしている物件の良し悪しの見極めが非常に重要だといえます。好立地を厳選して空室や家賃下落のリスクを最小化する必要があります。ここでは、立地を選ぶ上で重要な3つのポイントについて解説します。

1.駅から徒歩10分圏内
単身者の多くは勤務先や学校と自宅を往復する生活スタイルです。そのため通勤・通学にあたっては駅と自宅の距離はとても重要です。具体的には「駅から徒歩10分圏内」がマンション経営で重要な指標だといわれています。

2.ビッグターミナルまでの距離
大学や企業、商業施設があるほか複数の路線が乗り入れているビッグターミナルは入居者ニーズが高いといえます。具体的には渋谷や新宿、品川などが相当します。ビッグターミナルへのアクセスが一本だけとか、距離が近い駅は人気があります。逆に乗り換えが多く、ビッグターミナル駅へのアクセスが悪いと入居者ニーズは低いでしょう。

3.周辺環境
街全体が安全で暮らしやすい環境であることが大切です。オーナー自身が住みたいと思える環境かどうか確認するとよいでしょう。買い物の利便性や病院など必要な施設があるか、騒音の有無などもチェックしてください。

詳しくはこちら|マンション経営に必要な最適な立地を手にするために無視できない3つのこと

安定した人気を保っている地区

東京で人気のあるエリアといえば、港区や渋谷区などが一般的です。しかしながら、これらの地域は日本でもっとも不動産価格が高く、不動産投資物件の資産価値も極めて高いのが特徴です。不動産の投資に踏み出すためにはかなりの資金が必要となるため、簡単に手が出る地域ではありません。

比較的参入しやすい地域としては、台東区、江東区、墨田区、江戸川区などの不動産が狙い目といえます。この辺りは複数の地下鉄が通っており、都心への交通の便が良い点が魅力です。

東京23区の不動産の特徴は、資産価値が高くて売却がしやすくリスクが小さい一方で、利回りが低くて資産形成のスピードが遅い点です。東京で利回りの良い投資物件を求める場合は、東京郊外の都市になります。ただし、利回りが高いということはリスクが大きいということを意味するので、その点には留意しましょう。

東京郊外の場合、武蔵野市にある住みたい街として人気の吉祥寺(武蔵野市)、その隣の三鷹市は人気が高い地域であり、都心へのアクセスも良く、おすすめです。また、三多摩地区の八王子市は、市内に21の大学・短期大学・高専がある日本でも有数の学園都市であり、学生の賃貸需要が見込めます。さらに、2010年に八王子駅周辺の中央地域の人口が急増したことから賃貸需要が高く、将来的な人口動向の増減も横ばいが予想されている地域でもあります。

ただし、上記の内容はあくまで傾向であり、個々の不動産の事情によって異なります。自分の投資スタイルに応じて、東京で投資する地域を選定していきましょう。

投資先として手を出してはいけない東京の地域は?

東京で不動産投資をはじめるにあたり、避けた方がよいエリアはあるのでしょうか?

2020年の東京オリンピックの会場となる豊洲や有明、お台場、東雲などのいわゆる「湾岸エリア」は開発が進んでおり、物件価格も高騰しています。これはオリンピックまで続くと見られていますが、問題は、オリンピック後、湾岸エリアの地価が大きく下落するという予測があることです。

東京オリンピック後、湾岸エリアの地価が下落するのか、オリンピック特需によるインフラの整備によって大きな飛躍を遂げるのか。現時点でどちらに転ぶかは、見当がつきません。不確定要素が多いので、これからの投資先として湾岸エリアを選ぶ場合はこれらのリスクに注意を払う必要があります。

現地調査で注意すべきこと

現地調査で実際に物件を見ておかないと、投資物件にふさわしいかどうかの判断を見誤ります。たとえば不動産広告に「駅から徒歩5分」とあっても、実際に現地を歩いてみるともっと時間がかかる可能性もあります。

また、物件は「市街地に近いほど価値がある」と思いがちです。ところが市街地や繁華街に近ければ騒音や放置自転車、飲食店のゴミ、ネオン看板のまぶしさなど公害の問題も考慮すべきでしょう。治安も入居者が気にする重要な要素のひとつです。周辺に商店が多ければ、深夜まで人が集まって治安に影響があるとも考えられます。

一方で快適な場所だと感じても、将来的に近隣に高層マンションが建てば日照条件に影響がでるなど環境が変化する恐れもあります。現段階の情報だけではなく、将来的な情報収集に気を配るようにしましょう。情報はインターネットのほか、周辺の開発計画は区役所や市役所で確認することが可能です。調査時は住みづらそうだと判断した場所でも、新駅建設や商業施設などができれば利便性が高まります。

現地調査で正しい判断をするためには、複数回実施するのがベターです。平日は閑静な住宅街に見えても休日は騒がしいといったこともあります。安い買い物ではありませんから、時間帯や曜日を変えて何度も足を運ぶとよいでしょう。

詳しくはこちら|不動産投資で失敗しないための、投資物件の見極め方

東京は不動産の投資先として魅力的な都市だからこそ、最新の情報を収集しよう

東京で不動産投資をする際のポイントについて、おさらいします。

  • 東京は、不動産投資において世界で5位の魅力がある。
  • 東京は、都市としての総合力も世界で3位とトップクラスの力がある。
  • 東京オリンピック後も、成長材料として、オリンピックで整備されたインフラと再開発の動きがある。
  • 日本全体では人口減の傾向ではあるものの、東京は今後も人口増加・人口流入していく可能性が高い。
  • 東京の不動産価格は年々増加傾向にあり、今後もこの傾向は続くと予想される。
  • 東京で人気があり今後も需要が見込まれる物件タイプは、単身者向けのワンルームマンション。
  • 投資先としては、23区では台東区、江東区、墨田区、江戸川区、東京郊外では武蔵野市、三鷹市、八王子市がおすすめ。
  • 投資先として「湾岸エリア」を選ぶ場合は注意が必要。

 

 

東京は不動産の投資先として世界でも屈指の魅力ある都市です。しかし、投資である以上、確実にリスクは存在します。

不動産投資を東京で行う場合、利回りは低いけれどもリスクが小さく資産価値の高い都心の物件か、利回りは高いが人口減によるリスクが大きくなる郊外の物件のいずれかを選択することになります。

今回ご紹介した記事内容は、最新の情報を基にしていますが、実際に東京で不動産投資を行う際はそのときの最新の情報をあらゆる方面から集め、成功のための判断材料にしてください。