不動産投資をはじめたいけれど、初期費用がどのくらいの金額になるのかわからないために、なかなか踏み出せない方も多いのではないでしょうか? この記事では、不動産投資に必要な初期費用の具体的な数字を示すとともに、初期費用を抑えるためのコツについて、ご紹介していきます。

最低額と平均額|不動産投資をはじめるにあたって、これだけのお金がかかる!

不動産投資をはじめるためには、最低どのくらいのお金があればよいのでしょうか? また、平均でどのくらいのお金を使うのでしょうか?

初期費用とは、不動産を購入するために必要な「仲介手数料」「登記関係費用」「ローン関係費用」「火災保険料」「印紙税」など諸費用の総称です。

「いくらあれば不動産投資をはじめられるのか」という疑問について正確に答えるのであれば、「ケースバイケース」という答えしかありません。しかし、何かしら目安になる金額を知りたいものです。そこで今回は、いくつかのケースについて具体的な数字を挙げて解説していきます。

サラリーマンの場合

購入する不動産の価値にもよりますが、物件価格から諸費用まで全額のローンを組むことは難しい可能性があります。頭金の目安は物件価格の10%程度で、3,000万円のマンションなら300万円程度、1億円のアパートなら1,000万円程度となります。

また、不動産の購入に必要となる諸費用は、物件価格のおよそ3%です。つまり3,000万円のマンションなら90万円、1億円のアパートなら300万円は用意したいところです。仲介会社を経由して購入する場合は、上記諸費用に加えて仲介手数料が発生します。400万円を越える不動産仲介手数料の上限金額は、消費税8%の場合、「売買価格 × 3.24% + 6万4,800円」です。3,000万円のマンションなら1,036,800円、1億円のアパートなら3,304,800円がかかります。

もちろん、絶対的な基準ではありませんので、おおよその目安としてください。

大手企業に勤めている年収1,000万円以上の方の場合

年収1,000万円以上で安定した職業に就いている方の場合、実は頭金なしでも、初期費用として10万円程度があればはじめることができることもあります。なぜなら、不動産購入価格の全額に加えて、不動産の購入にかかる諸費用に対しても融資を受けることができるためです。

ただし、諸費用分を借り入れる場合はアパートローン(不動産投資ローン)とは別に諸費用ローンを組むことになります。なお、諸費用ローンはアパートローン(不動産投資ローン)に比べて金利が高いので、注意が必要です。

年収が低めの方/自営業の方

もしも、年収が低めの方やフリーランスなどの自営業の方で、不動産運用の実績がまったくない場合は、どのようにすればいいのでしょうか? 特に銀行の不動産投資ローンに関しては、給与所得のある方を対象にしている場合が多く、自営業の方の場合は借り入れが難しいケースも多いようです。

不動産投資ローンは、基本的には預貯金が多ければ多いほど、融資を受けやすくなります。また、現金で数百万円程度の安価な不動産を購入し、運用して実績をつくることで、次の不動産物件の購入、運用へとステップアップしていくことができます。現金による購入はレバレッジが効かないので投資スピードが落ちるデメリットはありますが、一つの手段として覚えておきましょう。

安価な中古戸建物件などは、500万円以下でも売りに出されています。不動産のポータルサイトでは、物件種別や価格帯などの条件を入力するだけで簡単に情報を確認できるので、ターゲットとしている条件の物件があるか調べてみましょう。

不動産購入に必要な諸費用について

諸費用とは、不動産の購入金額以外に必要となるお金で、不動産会社への仲介手数料や税金など、物件の購入に必要となるさまざまな費用を合わせたものです。

  • 基本的な諸費用には、以下の費用があります。
  • 金融機関への融資手数料
  • 収入印紙代
  • 火災保険料、地震保険料
  • 不動産登記費用(大部分は登録免許税)
  • 司法書士報酬(相場は10〜15万円程度。司法書士によって異なる)
  • 固定資産税
  • 不動産取得税(固定資産税評価額×3%で計算する。購入後、半年から1年後に支払う)
  • その他振り込み手数料など

諸費用は、購入する不動産価格の3%程度が目安です。仮に3,000万円の不動産を購入する場合、諸費用は次の計算で算出します。

3,000万円×3%=90万円

頭金としての自己資金の目安は10%程度であるため、3,000万円の物件の場合は以下の計算になります。

3,000万円×10%=300万円

つまり、3,000万円の不動産を購入する場合、頭金、諸費用を合わせた初期費用としては390万円程度が目安として必要になります。

では、390万円もの自己資金がない場合はどのようにすればよいのでしょうか? 次の章では、ローンの借り入れ先や審査基準、初期費用の抑え方について確認していきます。

投資のためのお金が足りない!どうすれば、解決できる?

不動産投資をはじめるための資金が足りない場合には、どうすればよいのでしょうか? ここからは、金融機関からローンを借り入れるための基本的なポイントと、初期費用を抑えるための方法を解説します。

不動産投資をするためのお金は、どんな所から借りられる?

不動産投資におけるローンの借り入れ先として、いわゆるメガバンクと呼ばれる都市銀行や大手銀行、地方銀行やネット銀行、ノンバンクなどが考えられます。

不動産投資ローンの審査基準

不動産投資は、基本的には金融機関から融資を受けて行う投資です。たとえ、お金に余裕があって、現金で購入できる場合でも、借り入れが行われることがほとんどです。なぜなら、その方がよりレバレッジが効くからです。

例えば、利回り10%の1,000万円の物件を現金で購入する場合と、100万円を頭金に900万円借り入れる場合では、後者の方が資産を早く増やせる可能性が高くなります。

それでは、金融機関はどのような方にお金を貸しているのでしょうか? また、融資を受けづらいのはどのような方なのでしょうか?

一般的な銀行の個人に対する審査基準のポイントは、「金融資産」「収入」「実績」です。

金融資産が多ければ多いほど、融資をしてくれる可能性は高まります。

収入は多ければ多いほど融資が通る可能性は高くなりますが、たとえ多くても安定していない場合は、マイナス評価とされる傾向があります。

実績は、これまでの不動産運営の実績です。本業の年収が低い場合でも着実に不動産経営で実績を残している場合は、高い評価を受けることができます。

融資期間に関しては物件の法定耐用年数次第となるケースがほとんどで、税法上の法定耐用年数は住居用のもので、木造は22年、鉄筋コンクリートは47年と定められています。なお、法定耐用年数がそのまま融資期間になるわけではなく、融資期間は法定耐用年数より短くなる傾向があることには留意してください。

不動産購入時の初期費用を抑えるためのポイント

不動産購入時の出費を抑えるためのポイントは2つあります。

1つ目は、頭金の金額を減らすことです。しかし、頭金の金額は前述のローン審査にも関わってくる問題であるため、全ての取引において頭金を少なくすればいいわけではありません。とはいっても、2棟目以降の不動産投資を拡大していくためには、なるべく現金は温存しておきたいところです。収支バランスを見ながら借入額を設定して、初期費用を抑えましょう。

2つ目は、諸費用を見直すことです。先ほど触れたとおり、不動産を購入した際の諸費用の目安額は購入価格の3%程度ですが、諸費用には減らせるものと減らせないものがあります。登録免許税、不動産取得税など、税金関連については規定の金額が決まっている固定の費用であり、減額できるものではありません。一方、司法書士報酬は、交渉次第で値引きすることができます。

また、中古物件を購入する場合に必要になる仲介手数料は、物件価格が400万円以上の場合は、「(不動産購入価格×3%+6万円)×消費税率」で計算します。例えば物件価格が2,000万円の場合、仲介手数料は71万2,800円(消費税8%計算)です。

ただし、これは上限額であり、必ずしもこの満額の仲介手数料を支払う必要はありません。なぜなら、仲介手数料が半額だったり無料で行ってくれたりする不動産会社が、近年増えているからです。

不動産会社はなぜ、主な収入源となる仲介手数料を無料にすることが可能なのでしょうか? 不動産取引には、売主と買主が存在します。不動産会社が売主と買主、双方の仲介を務めている場合、双方から仲介手数料を受け取れる可能性があります。この場合、売主側の仲介手数料は報酬として確定しているので、買主の分は無料にすることができるのです。

なお、不動産会社が売主の場合、仲介ではなく直接取引となるため、仲介手数料はかかりません。諸費用を抑えたい場合は、売主が不動産会社の物件が狙い目です。

不動産登記をする際に登記を依頼する司法書士は、通常、不動産会社から紹介がありますが、自分で選ぶこともできます。かつては一律だった司法書士の報酬も今は10~15万円程度と幅があり、事務所によってはさらに安い金額で登記を行ってくれる所もあります。より安価な報酬で業務を担当してくれる司法書士に依頼すれば、司法書士報酬を抑えることも可能です。

不動産投資をはじめた後にもかかる費用一覧

不動産投資をはじめるためにかかるお金は、初期費用だけではありません。不動産を購入した後も定期的にかかる費用があります。購入後にかかる税金や費用などは以下のとおりです。

固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税は、不動産を所有している方に対して毎年かかる税金です。その年の1月1日時点での所有者に対して、土地と建物それぞれに課税されます。

固定資産税は全ての不動産に適用される税金ですが、都市計画税は、都市計画区域内の市街化区域にある不動産に課税されるものです。支払い方法は一括払いか、年4回の分割払いを選択できます。

固定資産税の計算式は「課税標準(固定資産税評価額)×1.4%」、都市計画税は「課税標準(固定資産税評価額)×0.3%(最大税率)」で計算されます。課税標準ですが土地は公示価格の70%ほど、建物は建築費の50~70%ほどで評価され、固定資産税には減額特例があります。

仮に、100㎡の物件で土地の固定資産税評価額が1,200万円、建物の固定資産税評価額が800万円の場合、次のような計算になります。

固定資産税

土地の固定資産税は、以下のように算出できます。

1,200万円×1.4%=16万8,000円

特例により200㎡以下の土地の場合は、6分の1に減額されるので、

16万8,000円×1/6=2万8,000円(土地の固定資産税)

となります。

建物の固定資産税は、以下のように算出できます。

800万円×1.4%=11万2,000円

土地の固定資産税と建物の固定資産税を合わせた結果、物件の固定資産税は14万円となります。

都市計画税

土地の都市計画税は、以下のように算出できます。

1,200万円×0.3%=3万6,000円

特例により200㎡以下の土地の場合は、3分の1に減額されるので、

3万6,000円×1/3=1万2,000円(土地の都市計画税)

となります。

建物の都市計画税は、以下のように算出できます。

800万円×0.3%=2万4,000円

以上を踏まえると、都市計画税は3万6,000円となり、この物件の固定資産税・都市計画税は17万6,000円となります。

固定資産税・都市計画税については毎年固定費としてかかるものです。従って、物件購入前に費用として計算し、しっかり確認しておく必要があります。

管理費と修繕積立金(区分マンション物件の場合)

区分マンションを投資物件として運用していく場合、毎月決まった額の管理費と修繕積立金を支払う必要があります。

管理費とは、マンションの共用部分の維持・修理に必要となる費用で、例えばマンションの廊下の電気代や、エレベーターの保守点検費などが挙げられます。修繕積立金とは、将来的な物件の大規模修繕工事のために積み立てられるお金のことです。これらはマンション管理規約によって規定されている、固定の費用となります。

火災保険料

火災保険はローン借り入れの条件にもなっており、現金で購入する場合でも必ず加入しなければならない保険です。火災保険料は物件の種別、契約年数、保険会社によって異なります。1年ごとに契約を更新する1年契約と5〜10年の長期契約がありますが、長期契約の場合は一括先払いであるケースも多いです。ひとまずは1年契約にすることで初期費用を抑えられます。

修理代金

給湯器が故障した、網戸が破損したといった場合は、オーナーの負担で修理を行う必要があります。修理はいつ必要になるのか、予想がつきません。また、どのような修理が必要になるかも不明であるため、修理のための予備費としてどの程度の修理費を用意すべきかについても明確な答えはありません。

ただ、例えば突風などによる設備の破損なども補償の範囲に含む火災保険もありますので、なるべく広範囲の補償が利く保険を選ぶことで、想定外の出費のリスクヘッジをするという方法も検討してよいでしょう。

ハウスクリーニング代

募集前、または入居者が退室した後は、ハウスクリーニングが必要となります。キッチン、お風呂、トイレなどの水回りについては、クリーニングの専門家に任せましょう。水回り以外のその他の部分に関しては自分で行うなどしてクリーニング代金を抑えることもできます。

費用を抑えるために、クリーニングを依頼する際は必ず相見積もりを取りましょう。ただし、安すぎる会社は注意が必要です。質の悪いサービスを提供する業者や、万が一に備えた損害保険に入っていない業者である可能性があるからです。価格を重視しつつも実績や口コミを確認しながら依頼先を選びましょう。

リフォーム代

マンション経営は俗に不労所得といわれ、人に部屋を貸すだけで安定的な収入が得られます。といっても、賃貸物件が数多くある現在。新築をはじめ競合物件もどんどん増えています。

購入した際はキレイな物件でも、建物は経年劣化していきます。適切なリフォームをしないと、新規の入居者が決まらなくなってしまうのが実状です。といっても、新規の入居者を募集するたびに、毎回リフォームをする必要はありません。

リフォームの相場を例に挙げると、クロスの張り替えは部屋の大きさにもよりますが3~5万円程度、キッチンや浴室の更新は10~80万円程度です。費用が適切かどうかを判断するポイントはリフォーム費用が家賃の何倍になるかということ。家賃の10倍の費用でリフォームをすれば、回収するのに10カ月かかります。費用を投下して長期間の安定収入をねらうのか、たとえ空室期間が長引いてもリフォーム費用は削るのか、オーナー自身が考えて決めていくことになります。

詳しくはこちら|不動産投資|部屋のリフォーム費用の目安はいくら?

“空室リスク”を回避するサブリース契約の費用

せっかくマンション・アパート経営を始めても、空室が発生すると見込んでいた収入が入ってこなくなってしまいます。その結果、キャッシュフローに影響を及ぼすことになりかねません。そんな賃貸経営のリスクである”空室リスク”を回避する手段のひとつが、サブリースです。
サブリース業者はオーナーから賃貸物件を借り上げて、入居者募集から賃料回収などを行ってくれます。サブリースを利用するメリットとして、空室が発生してもオーナーに保証賃料が支払われることが挙げられます。

ただし保証される賃料は、サブリース会社が入居者から受け取る家賃から手数料などを差し引いたものになります。そのため、本来の賃料よりも下回ることになります。一般的に保証賃料は、本来の賃料の80%〜90%とされています。つまり、サブリースを利用するなら、賃料の10%~20%の費用がかかることになるのです。

詳しくはこちら|5分で分かる「サブリース」とは?契約内容やメリット、注意点を解説

初期費用の相場を理解し、計画性のある不動産投資をはじめよう

不動産投資は取り扱う金額が大きいため、敷居が高いイメージがあります。しかし、今回解説した初期費用の相場について理解すれば、これからどのくらいの金額を目標に貯蓄をしていくのか、どのような物件を選ぶべきかといった今後のアクションが明確になるため、多少、敷居が下がるかもしれません。

初期費用から逆算した現実的な計画を立てた上で、不動産投資をはじめていきましょう。