不動産投資で得られる家賃収入は、給与所得などと合算して課税の対象となります。

そのため、経費を計上することによって少しでも支払う税金を少なくしたいと考えている方も多いと思います。しかし、どのような費用が経費として計上できるかが分からない方もいらっしゃることでしょう。

そこで今回は、不動産投資を行う際に、経費として計上できる費用について解説していきます。

家賃収入と税金の仕組み

不動産投資の収入は、家賃収入だけだと思っている方もいらっしゃることかと思いますが、管理費や共益費、礼金、更新料なども家賃収入に含まれます。

そのため、不動産投資で生じた純粋な「不動産所得」を計算する際は、不動産投資の総収入から経費を差し引かなければなりません。

不動産所得は、株式投資やFXのように分離課税ではなく、給与所得などと合算して税率を決定する総合課税が適用されます。全ての所得を合算した額が多くなればなるほど、税率が高くなる累進課税が適用されるので注意が必要です。

家賃収入による不動産所得を計算する際に経費として扱われるもの

家賃収入や礼金などの不動産投資で発生する収入に対して、税金を減らすためには「経費の活用」が重要です。しかし、何でも経費として扱われるわけではないので注意が必要です。経費として計上できるのは主に以下の9項目です。

  • 税金(固定資産税、不動産取得税など)
  • 損害保険料
  • 司法書士や税理士への報酬
  • 減価償却費
  • ローン金利(建物取得に関わるもの)
  • 管理会社への業務委託料
  • 修繕費
  • 管理費、修繕積立金
  • 事業として行っている場合の経費

 

それぞれの項目について見ていきましょう。

税金

不動産投資を行う際には様々な税金が発生します。例えば、以下のような項目があります。

固定資産税、都市計画税
土地や建物を所有していることで毎年発生する税金

登録免許税、不動産取得税
物件取得時の登記に要する税金と取得にかかる税金

印紙税
物件の売買契約の際に納める税金

特に固定資産税・都市計画税は毎年発生する税金なので、経費として計上できるのは大きなメリットと言えるでしょう。

損害保険料

不動産投資では、火災リスクや地震リスクといった自然災害リスクを伴うため、火災保険や地震保険に加入します。これらの損害保険に加入するにあたって支払う費用も経費として扱われます。

損害保険料は、1年契約の保険料よりも複数年契約の保険料の方が安く設定されているのが一般的です。そのため、複数年契約を選ぶ方も多いようです。

司法書士や税理士への報酬

不動産投資を行うにあたって、不動産を購入した場合には所有権移転登記などの手続きが必要です。しかし、これらの手続きは提出書類が多いことなどから、手間がかかるため司法書士に依頼するのが一般的です。

また、給与所得だけの確定申告は比較的簡単ですが、不動産所得も含める場合には手続きが複雑で不備が生じやすいので、手間を軽減するために税理士に依頼する方もいます。これらの司法書士や税理士に依頼する際にかかる報酬も経費として扱われるので覚えておきましょう。

減価償却費

減価償却費とは、物件の経年劣化による資産価値の目減りのことです。不動産投資のような住宅用の建物の耐用年数は、物件の構造によって以下のように分類されます。

  • 木造:22年
  • 軽量鉄骨造:19年または27年
  • 重量鉄骨造:34年
  • 鉄筋コンクリート造(RC)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC):47年

 

減価償却費は、1年ごとに経費として扱います

計算方法(定額法)は、「取得価額×定額法の償却率」ですが、建物の価格(取得原価)を上記の耐用年数で割った額とほぼ同額だと覚えておいてもいいかもしれません。減価償却費は実際に毎年支出を伴わない帳簿上の経費ともいえます。毎年しっかりと計上することで、より大きな節税効果が期待できるようになるでしょう。

ローン金利

不動産投資は自己資金だけでは不足するため、金融機関の融資を受けながら運用するのが一般的です。融資を受けるということは返済の義務が生じますが、元本のほか利息も加えて返済します。

この利息部分に関しては、経費として扱うことが可能です。賃貸を開始する前の返済の利息部分や、不動産価格には建物価格と土地価格が含まれていますが、返済のうち土地価格に関する利息部分に関しては、経費として扱えないので注意しましょう。

管理会社への業務委託料

不動産投資では、入退去の管理、家賃の回収、部屋の修繕などの様々な業務を行わなければなりません。しかし、サラリーマンで不動産投資を行っている方の場合は、これらの業務を行う時間を確保できないため、管理会社に委託するのが一般的です。

管理会社に委託する際に支払う業務委託料も経費として扱われます。業務委託料の相場は家賃収入の5%が一般的なので、業務委託料が高くないかどうかも確認しておきましょう。

修繕費

不動産投資では、経年劣化で建物全体が傷んだり部屋のクロスやフローリングが傷んだりするため、適宜修繕を行っていく必要があります。

建物の防水性能が落ちたことによる外壁塗装や部屋のクロスやフローリングの交換費用は、修繕費という項目で経費として扱います。中古物件を購入した場合は、修繕箇所が多いことから経費が増え、結果として支出が増えることもあるので注意しましょう。

管理費・修繕積立金

運用しているのがマンションの場合、マンションの日常的な清掃や修繕に必要な管理費、建物全体の経年劣化の修繕に必要な修繕積立金といった支出を伴います。これらの費用も経費として扱われます。

「経費がかかりすぎても困る」といった理由で、管理費や修繕積立金が少ないマンションを購入すると、後で不足して追加徴収されるケースもあるので注意が必要です。管理費や修繕積立金が適切かどうかを確認しておきましょう。

事業として行っている場合の経費

不動産投資を事業的規模で行っている場合には、青色申告をすることが出来るようになり、上記以外にも経費として扱われるものがあります。事業的規模の基準は以下の2つです。

  • 貸家の場合には5棟以上の運用を行っているか
  • アパートやマンションの場合には部屋数が10室以上あるか

 

白色申告から青色申告をすることで、例えば、以下のような控除や費用を経費として扱うことが可能になります。

  • 青色申告特別控除
  • 家族への給与
  • 資産損失

 

それぞれについて、見ていきましょう。

青色申告特別控除

青色申告特別控除とは、青色申告による確定申告を行った場合に受けられる控除のことです。経費というよりは、正確には控除と言えますが、青色申告特別控除に該当すると、毎年65万円の控除を受けられるため、節税効果が期待できます。

青色申告特別控除を適用するには、事前に青色申告を行うための申請が必要です。また、青色申告は帳簿作成の手間が生じるため、税理士に任せる方もいます。税理士の報酬なども考慮して、青色申告にするかどうかを総合的に考える必要があるでしょう。

家族への給与

個人事業の場合、家族に対して支払う給与は経費として扱われません。しかし、その仕事が事業として成り立つ規模であると判断された場合は、事業専従者であれば給与の一部を、青色事業専従者であれば税務署に届出を行った金額の範囲内を経費として扱えます。

ほとんどの経費は実際に支出を伴いますが、家族への給与は自分たちに戻ってきます。また、それを経費として扱えるため、節税効果が期待できるでしょう。

資産損失

築年数の経過などによって物件を取り壊す場合には、取り壊すことによって失われる残存価値を経費として扱えます。しかし、経費の額が大きいため、その年の家賃収入と相殺しきれない場合があります。

通常は翌年に繰り越せませんが、青色申告の場合、翌年以降3年間繰り越せるため、節税効果が期待できるでしょう。

家賃収入による不動産所得を計算する際に経費として扱われないもの

ほとんどの費用が経費として扱われますが、扱われないものにはどのようなものがあるのでしょうか?経費として扱われないものは主に以下の5項目です。

  • ローン返済額の元本部分
  • 資格取得のためのセミナー参加費
  • 交通違反の罰則金
  • 科料及び過料など
  • 個人や家族、友人との飲食

 

それぞれの項目について見ていきましょう。

ローン返済額の元本部分

経費として扱われるものにローン金利があったため、元本部分も経費として扱われると思った方も多いかもしれませんが、ローン返済額の元本部分は扱われません。

資格取得のためのセミナー参加費

不動産投資に関連するものであれば、全て経費として扱われるわけではありません。

例えば、不動産投資を行うために宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーなどの資格取得が必要だと言っても、資格取得のためのセミナー費用は経費として扱われません。

このように不動産投資にかかる費用は、必ずしも経費として計上できるわけではありません。費用だけがかかってしまわないように注意しましょう。

交通違反の罰則金

物件巡回用の車の自動車税やガソリン代などは、経費として扱われます。

しかし、物件に向かう途中にスピード違反で捕まった、路上駐車で物件を確認している際に駐車違反で捕まった罰金などは、経費として扱われないので注意しましょう。

科料及び過料など

不動産投資を行っている際に、行政法規上の義務違反を犯したことによる過料や、刑法上の違反を犯したことによる科料が言い渡される場合があります。

これらも交通違反の罰則金と同様、経費として扱われないので注意しましょう。

個人や家族、友人との飲食

不動産投資で管理会社と打ち合わせを行う際の飲食に要した費用は、接待費という項目で経費として扱われます。

しかし、個人や家族、友人との飲食については、上記のような接待という項目にはならず、経費として扱われないので注意しましょう。

まとめ

不動産投資で得られた収入は、給与所得などと合算して課税する総合課税が適用されます。また、税率を決める際には、所得の額が多いほど税率が高くなる累進課税が適用されるので、所得から差し引かれる経費をしっかりと申告することがポイントです。

不動産投資の所得は、家賃収入や礼金などの収入から経費を差し引いて求めるため、経費をうまく活用することで節税につなげられます。しかし、経費といっても何でも経費として扱われるわけではないため注意が必要です。

何が経費として扱われるのかを正しく理解しておけば、無駄な税金を納めずに済むでしょう。

確定申告は、不動産投資をはじめる上で避けることが出来ない手続きの一つとなります。これまでにお伝えした経費の内容や申告方法が分かれば、あとは毎年その作業を繰り返していくだけです。

税理士や税務署に内容を確認しながら、しっかりと理解できるようになりましょう。