これから不動産投資を始める方が一番気になるのは、「家賃収入は手取りでどれくらい残るのか」ということではないでしょうか?

なぜなら、金融機関から資金を借りる方は、ローンの返済だけではなく、税金・保険・修繕費などいろいろな支払いがあるからです。

不動産投資を始める前に、どんな費用がいくらくらい必要なのかしっかりと勉強しておきましょう。「不動産投資を始めたけれど、赤字になってしまった」ということがないように、この記事で不動産投資にかかる費用や税金の種類、手取り額を増やす方法を解説します。

家賃収入の手取り額とは

家賃収入の手取り額とは、家賃収入からローン返済額や経費を差し引いたものです。マンションやアパートなどの物件を購入し、その物件を賃貸として他人に貸し出すことで家賃収入を得ることができます。

例えば、物件を3戸保有している場合、それぞれ家賃が10万円だとします。家賃収入は合計すると30万円ですが、これがすべて手元に残る訳ではありません。この30万円の中から、ローン返済額と経費を差し引いた部分が手元に残るのです。この場合の経費とは、ローンの金利、物件の管理費、損害保険料などです。また、個人か法人かによっても、経費の種類は異なります。

家賃収入で得られる手取り額の計算方法

それでは、具体的に家賃収入で得られる手取り額の計算方法を紹介します。

 一般的な家賃収入で得られる手取り額

今回は、東京23区の新築物件と中古物件を例に紹介します。

・新築物件の場合

物件1物件2物件3
販売価格3,490万円3,490万円3,580万円
融資金額3,480万円2,990万円3,570万円
借入年数35年35年35年
借入金利1.7%1.7%1.7%
頭金10万円500万円10万円
登記諸費用など70万円70万円70万円
月々返済額109,994円94,506円112,838円
管理費8,290円8,290円8,290円
修繕積立金2,570円2,570円2,570円
家賃収入106,000円106,000円110,500円
手取り-14,854円634円-13,198円

マンションの区分所有物件を3戸所有したケースで計算してみました。頭金が少ない物件1・物件3の場合、月々の返済額が重くのしかかってきます。月々の住宅ローンの返済があるため、手取りはマイナスになっています。一方で、頭金が多い物件2の場合、手取りはプラスになっています。

・築浅中古物件の場合

物件1(築8年)物件2(築7年)
販売価格2,400万円2,200万円
借入年数35年35年
借入金利1.7%1.7%
頭金0万円0万円
月々返済額75,858円69,536円
管理費9,850円8,400円
修繕積立金3,880円1,100円
家賃97,000円83,000円
手取り7,412円3,964円

中古物件の場合、購入価格を抑えることができるため、ローンの返済があっても手取りはプラスになっています。

ローン返済後の手取り額

・新築物件の場合

次に、先ほどのケースと同じ場合で、ローンを返済した後の手取り額を計算します。なお、このシミュレーションにおいては、家賃は変動しないと仮定しています。

月々返済額0円0円0円
管理費・修繕費10,860円10,860円10,860円
家賃収入106,000円106,000円110,500円
手取り95,140円95,140円99,640円

・中古物件の場合

月々返済額0円0円
管理費9,850円8,400円
修繕積立金3,880円1,100円
家賃97,000円83,000円
手取り83,270円73,500円

ローン返済後の手取り額を見ると、手取り額が増えていることがわかります。管理費・修繕積立金はローン返済後も払い続ける必要があるため、これらを家賃収入から引いた部分が手元に残ります。

これらの結果から、頭金を多くすることや、繰り上げ返済をするということが、いち早く手取り収入を増やすためには重要になるということがわかります。

不動産投資に必要な支出の種類とは

それでは、先ほど紹介した家賃収入から引かれる支出について紹介します。

毎月のローンの返済

不動産投資で大きな負担になるのが、毎月のローン返済です。特に、金融機関からの融資額が大きくなればなるほど、利息部分も大きくなります。

ローンの返済額に含まれるのは、物件の購入代金とローンの利息です。ローンの返済額は、経費として計上することはできませんが、建物部分取得に関する利息部分は経費として計上することはできます(土地部分取得に関する利息は計上できません)。

物件の管理費

物件を所有すると、設備のメンテナンス費用や点検費、修繕費などの費用がかかります。また、物件管理には、自分で管理するほか、管理会社に委託するといった方法がありますが、管理会社に委託した場合は、管理委託料が必要です。

修繕積立金

マンションの経年劣化に備えて積み立てるのが、修繕積立金です。これは、マンションの共用部分の修繕など、将来、大規模修繕工事のために使われます。

なお、共用部分とは専有部分以外の建物部分の総称であり、外廊下、エントランスホール、階段、屋上、エレベーター、外壁などが含まれます。また、専有部分とは、マンションの住戸部分(部屋の中)を指します。

賃貸管理代行手数料

マンションやアパートの管理を管理会社に依頼するときにかかる費用です。入居者からの家賃の回収や物件の清掃、メンテナンス、入居者への対応など、物件を管理するために使われます。

各種税金

賃貸物件として物件を所有している間は、固定資産税、所得税、住民税などがかかります。詳しくはこの後で紹介します。

損害保険料

賃貸物件にかかる火災保険、地震保険などの保険料です。火災保険に加入していれば、火災だけでなく、風災・水災・水漏れなどによる損害にも対応できます。

修繕費など

入居者が退去した後のリフォームやクリーニング代、エアコン、お風呂の給湯器などの修繕費用に使われます。あくまでも修繕するための費用なので、新たな設備を設置した場合は経費として認められません。

不動産投資に必要な税金の種類

この章では、賃貸物件から得た収入に対して支払いの義務が生じる所得税・住民税と、物件の所有者に課税される固定資産税について紹介します。

不動産所得に対してかかる税金

所得税

所得税は次のような税率となっています。例えば、課税所得金額が500万円の場合、次のような金額になります。

500万円×0.2-427,500=57.25万円

「課税所得金額×税率-控除額」といった計算方法になります。

所得税の速算表
課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え~330万円以下10%97,500円
330万円を超え~695万円以下20%427,500円
695万円を超え~900万円以下23%636,000円
900万円を超え~1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え~4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

住民税

住民税は、都道府県により多少異なります。東京都の場合、「個人都民税」「個人区市町村民税」と合わせて「個人住民税」といい、住民税はこの2つを合わせたものを支払います。

税率は、都民税4%、区市町村民税6%を合わせて10%となります。3,000万円の所得があれば、3,000×0.1=300万円の住民税を支払います。

出典元:総務省「地方税法」第35条、第314条の3

不動産の保有に伴ってかかる税金

固定資産税・都市計画税

固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)現在の土地、家屋及び償却資産(これらを「固定資産」といいます。)の所有者に対し、その固定資産の価格をもとに算定される税額を固定資産の所在する市町村(東京都23区内においては東京都)が課税する税金です。

固定資産の価格とは、「固定資産評価基準」に基づいて評価された額を知事又は市町村長が決定し、固定資産課税台帳に登録したものをいいます。都市計画税は、原則として都市計画法による市街化区域内に土地や家屋を所有している方に対して課税されます。

固定資産税・都市計画税の税率は、市町村によって異なる場合があるので、物件が所在する市町村のホームページなどで確認が必要です。計算方法は以下の通りです。

固定資産税(土地・家屋)=課税標準額×税率-軽減額等
都市計画税(土地・家屋)=課税標準額×税率-軽減額等

※出典元:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

手取り額を増やすために実践しておきたい7つの方法

次に、手取りを増やすために外せない必須のノウハウを7つ紹介しましょう。

頭金を多く準備しておく

先ほどの例で紹介した通り、頭金が0の場合は、ローン返済の期間が長くなったり、総支払利息金額が大きくなったり、月々の支払いも多くなりがちです。このような状態が長く続くと、なかなか手取りは増えません。頭金は0円でも始められますが、手取りを増やすためには、頭金をできるだけ多く用意しておいた方がいいでしょう。

計画的に繰り上げ返済を行う

ローンの契約が終わったからといって安心してはいけません。頭金0円でローンを借りると、いつまで経っても手元にお金が残らないということも考えられます。自己資金に余裕が出てきたら、できるだけ繰り上げ返済をしましょう。ローンの返済期間を短くするだけでなく、利息を少なくすることもできます。

繰り上げ返済の方法には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの方法があります。

「期間短縮型」で繰り上げ返済をした場合、毎月支払う返済額に変わりはありませんが、返済期間が短くなるため、短縮された期間に支払う予定だった利息が軽減されます。そのため、同じタイミングで同じ金額を繰り上げ返済した場合、利息軽減効果は「返済額軽減型」よりも大きくなります。

一方、「返済額軽減型」は、返済期間は変えずに毎月支払う返済額を引き下げる方法です。毎月の返済額が下がるため、教育資金がかかるようになった場合や、変動金利などの金利上昇で返済額の増額が予想されるときには、家計を安定させるために効果的です。

利息を減らしローン返済を早くしたい方は、「期間短縮型」を選ぶとよいでしょう。

リフォーム・リノベーションをして家賃を上げる

築年数が長いマンションやアパートを保有していると、近隣エリアにより新しい物件が増えてきてしまっている場合、家賃を下げなければ入居者が集まらないことがあります。

リフォーム・リノベーションをすると物件の価値が上がるため、家賃を下げなくても、また、場合によっては家賃を上げても入居者が集まりやすくなります。

空室リスクの少ない東京都心の物件を購入する

地方の物件や、駅から離れた場所など利便性の悪い物件は、空き室リスクという問題が常につきまといます。

そのため、家賃を下げないと入居者が入らないという問題も発生します。このような問題を解決するには、東京都心など、住居の需要が高い、空室リスクの低い物件を選ぶことが大切です。

空室期間が少ないワンルームを購入する

ワンルームマンションには単身者の方が入居する場合がほとんどです。単身者は就職や転職、進学などによる引っ越しの機会が比較的多いため、退去者が出ても新しい入居者が決まりやすい傾向にあります。

そのため、空室リスクを抑えることもできます。また、都心のワンルームマンションは、地方の一棟アパートなどに比べると流動性が高いというメリットもあります。

需要が高い中古物件だけを購入する

新築物件よりも低価格で購入しやすい中古物件を選ぶのも1つの手段です。

ただし、利便性の悪い場所にある物件はどれだけ安く購入できても、空室リスクが常に伴います。需要が見込める、好立地の中古物件を探し出すことが大切です。目先の利回りや価格だけで選ばないように注意しましょう。

ローンの借りすぎに注意する

自分の収入に見合わない金額をローンで借りすぎてしまうと、せっかく物件を購入し賃貸経営ができても、ローンの返済だけでなく、他の費用の支払いも滞ってしまう可能性があります。

そうなると、適切な修繕をすることができず、部屋の品質を保つことができなくなり、家賃収入にまで影響が出る可能性があります。収支計画をしっかりと立て、ご自身の本業等での収入と預貯金額などを考えた上でローンを借りるようにしましょう。

不動産投資をするなら東京都心部がオススメ


こうして考えてみると、不動産投資で家賃収入を得るには、東京23区がオススメだと言えます。

それは、そもそも絶対数として、東京都心部に通うサラリーマン・学生などの数が圧倒的に多いからです。そのため、人口減少社会といわれる昨今においても、賃貸需要が高まり続け、マーケットとして成立しています。なお、新宿や渋谷、品川といった都心のターミナル駅に乗り入れる路線に関しては、需要が途切れることは当面は考えにくいと予想されています。

まとめ

家賃収入がどれくらい手元に残るのかというのは、物件の戸数や場所などによってさまざまです。

できるだけ頭金を多く準備し、余裕ができた際に繰越返済をすれば、利息は減り手元に残る金額も増えていきます。

これから不動産投資をする方は、家賃収入からどのような支出が必要になるのか、できるだけ空室リスクを減らすようにするにはどんな物件を選んだらいいのか、など正確な情報を集め、自分にできるリスク対策を事前にきちんと確認して準備しておきましょう。