今回取り上げるのは、マンション経営におけるデメリットとメリットです。他の投資と比較をしながら、マンション経営のメリットやさまざまなリスク、その対策事例について、わかりやすく解説していきます。この記事を読めば、マンション経営の特徴と“はじめるにあたってすべきこと”が理解できるでしょう。

マンション経営のデメリット・リスクと、その対策

 

マンション経営にはどんなデメリットやリスクがあるのでしょうか? それぞれの対策と合わせて、解説していきます。

利回りが低い

投資においてハイリスク・ハイリターン、すなわちリスクが高いものは利回りが高く、リスクが低いものは利回りも低い場合がほとんどです。株式投資やFXの利回りが高いのはリターンが大きい分、リスクが大きいことを意味します。

一般的に、ミドルリスク・ミドルリターンといわれるマンション経営の利回りは、平均で4〜5%程度。アパート経営や株式投資、FXといったその他の投資に比べるとやや利回りが低いのが特徴といえます。

中古物件は融資条件が悪い

新築マンションは中古マンションと比較すると、金融機関の融資条件が悪いことが多いものです。その理由として新築は担保力が高く、銀行から高評価を得られるのに対し、中古は築年数が経つことによって耐用年数が失われているために建物の担保価値が低いと査定されてしまうことが挙げられます。

そのため、銀行に融資を求めても金利が高かったり、希望していた額よりも融資額が低いといったこともあるでしょう。融資は物件価格の50~70%しか受けられないケースがほとんどだといわれています。その結果、想定していた以上に自己資金(頭金)が必要になったり、毎月の返済負担が大きくなってしまう可能性もあります。

新築よりも中古は物件価格が安く、一見すると投資しやすいようにも思えますが、ほかにも仲介業者を使って購入すれば、初期費用に仲介手数料が加わるので諸費用も高くなります。
事前に資金計画をしっかりと練ること、ほかにも事業計画、キャッシュフローの確認を綿密に行っておくようにしたいものです。

詳しくはこちら|ワンルームマンション投資のリスクとは?リスクから学ぶ成功のコツ

月々の固定支出がある(管理費や修繕積立金)

マンション経営の場合、月々のローン返済に加えて、管理費や修繕積立金の支出があります。マンションによって金額は異なりますが、毎月1~2万円程度が固定支出になります。

管理費や修繕積立金は安ければよいというものではありません。管理費・修繕積立金の安さをマンション選びの基準にすると、後々、管理費の値上げや大規模修繕のための大きな出費が必要になる可能性もあります。

これらの固定支出の対策として、長期修繕計画などを参考に事前に収支計画に盛り込み、ローンの返済、管理費、修繕積立金などを差し引いても将来的に利益が見込めるマンションを選ぶようにしましょう。

経年劣化・修繕リスク

マンションを長期保有していれば、当然ですが建物も経年劣化していきます。また、経営していく中で設備の故障や建物の損傷などの補修で突発的な修繕費がかかります。

経年劣化・修繕のリスクは、長期修繕計画があり、信頼できる管理会社が管理保守するマンションを選択することで、リスクヘッジが可能です。

空室リスク

マンション経営は入居者がいないと成り立ちません。空室が続いてしまう主な原因は、「相場より家賃が高い」「不動産会社の力不足」「人口が少ない地域である」「駅から遠い」「地域の需要に合っていない」などです。

空室の原因に対して、「家賃は高ければ相場並みにする」「不動産会社の動きが悪ければ変更する」などの対策は取れますが、「人口数」「立地」「世帯構成」などは変えることができないので、最初の物件選びが重要になります。

また、空室リスク対策として、オーナーから物件を借りて入居希望者に転貸するサブリースを利用する方法もあります。家賃はサブリース業者が保証してくれるため、空室でも安定した家賃収入を得ることができます。

詳しくはこちら|5分で分かる「サブリース」とは?契約内容やメリット、注意点を解説

家賃下落や滞納リスク

購入時には新築だった物件でも、何十年と経過をすれば物件価値の下落は避けられません。たとえどんなに好立地に建つ物件だったとしても、新築のままの家賃とはいかないのが実情です。不動産投資を始めるためには事前に綿密な運用計画を立てますが、あらかじめこうした家賃下落を考慮して計画策定をしておくとよいでしょう。

また、ほかにも入居者に家賃を滞納されてしまうリスクも考えられます。家賃を確実に回収するためには、契約時に保証人や連帯保証人をつけておくとよいでしょう。万が一滞納が発生したときに、入居者に代わって支払いを求めることが可能です。

保証人や連帯保証人をつけられない入居者の場合、保証会社を利用する方法があります。家賃保証会社に入居者が保証料を支払い契約します。滞納が発生したら保証会社から家賃を払ってもらうことができるのです。

詳しくはこちら|家賃収入で生きる|不動産投資の成功率を上げるリスク回避方法とは

災害時リスク

地震や火災、水災などの自然災害で物件に影響が生じたら不動産経営に大きな影響を与えます。火災保険に加入することで、こうしたリスクを軽減できます。火災保険は火災の他にも落雷や水災、風災、漏水などの損害に幅広く対応していますが、地震による損害の補償は含まれないので地震保険を付加するとよいでしょう。

また、中古物件を購入する場合は1981(昭和56)年6月1日以降に建てられた地震に強い新耐震基準を満たしたマンションを選ぶようにしましょう。

詳しくはこちら|マンション経営はなぜ失敗するの?その理由と覚えておきたい5つのリスク

管理会社の倒産リスク

共用部の清掃や設備点検などの建物管理、入居者募集や家賃の集金などの賃貸管理を行う管理会社。この管理会社が倒産する可能性もゼロではなく、更正法などを用いて事業を継続するならそのまま物件管理を委託できます。しかし事業継続しない場合は、物件管理の委託先を変更せねばなりません。

将来的なリスク(金利上昇・売却)

マンションは一般的に投資用不動産ローンを利用して購入します。そのため、変動金利のローンを選択 していた場合、将来的な金利上昇の影響を受ける可能性があります(金利の上昇はコントロールできません)。

マンション経営における金利上昇リスクへの対策としては、物件を買う段階でなるべく金利の低い融資を受ける、早めに繰り上げ返済を行う、売却するなどがあります。

もうひとつの将来的なリスクとして、売却時に売却希望金額に通りに売却できない可能性があります。

日本は人口減少局面にあるため家余りの状態で売却しにくい状況が想定されます。対策としては挙げられるのは、東京、大阪、福岡など将来的な人口減少リスクの低い都市部のマンションを購入することです。今後のマンション経営においては、少子化リスクを見据えた戦略を持っておきましょう。

3つの失敗事例

不動産経営は元本保証のない資産運用でもあります。安定的な家賃収入があってこそ成り立ちますが、そのためには継続的に入居者がいて毎月賃料を回収せねばなりません。そして将来に向けて修繕計画などの支出も考慮する必要があり、良好なキャッシュフローがあってこそ実現します。逆にキャッシュフローが悪化してしまい、不動産投資を止めざるを得ない状況になることが不動産投資の失敗だといえます。

不動産投資を失敗しないために、ここでは失敗事例を考察します。失敗しないためにどんな対策を講じれば良いのか見ていきましょう。

失敗事例その1:節税効果に落とし穴

不動産投資には節税効果があります。しかし、節税効果が高いのは不動産取得税や登録免許税などの諸経費が必要になる最初の1~2年目程度。2年目以降は最初の1年目ほど大きなコストがかからず、住民税や所得税に対する節税効果は薄まってしまいます。不動産会社の営業マンから提案される節税に関する資料は、2年目までしか記載しないことが多いので自分でもシュミレーションしておくことが重要です。

失敗事例その2:思わぬ修繕費用

できるだけ初期投資を抑えたい」と割安感のある中古物件を購入。しかし、物件の価格だけに着目し過ぎてしまうと、数年で大規模修繕が行われ思わぬ出費が発生する場合があります。中古物件に投資する際には修繕費用が多くかかる可能性があることを理解し、長期修繕計画の確認をすることが肝心です。専有部分の設備修繕の要否だけでなく、共用部分の修繕状況についても確認します。あらかじめ修繕費用の額を想定・確認をしておけば慌てずに済みます。

失敗事例その3:家賃保証の落とし穴

サブリースによる家賃保証を利用し、不動産投資をスタートすると空室があっても毎月家賃を得ることができます。しかし、家賃にはサブリース業者に支払うコストも発生し、場合によっては手元に資金がほとんど残らないこともあります。また、数年おきに家賃保証額の改定もあります。サブリースによる保証賃料を踏まえた収支計画を立て、想定キャッシュフローシミュレーションを綿密に行うことが肝心です。

詳しくはこちら|3つの失敗事例から学ぶワンルームマンション投資成功へのカギとは

マンション経営のメリット

 

次は、マンション経営のメリットを確認していきましょう。

毎月安定した副収入が手に入る

マンション経営の運用方法によっては、毎月安定した副収入を手に入れることができます。

例えば、マンション経営で500万円を頭金にして運用した場合、月々6000円程度のプラス収支となるので、年間で約72000円を受け取ることができます。他の資産運用方法として500万円を定期預金で運用した場合には、年間で7500円程度の利息(年利0.15%の場合) しか受け取ることができません。

この記事では定期預金との比較例のみになりますが、このように、毎月安定した収益を得られる点は、マンション経営の大きなメリットといえるでしょう。

なお、詳しい運用モデルについてはこちらの記事をご覧ください。

私的年金代わりになる

需要のあるエリアでマンション経営を行うと、上述の通り、毎月安定した賃貸収入を得ることができます。そのため、将来的には私的年金代わりにもなります。毎月使えるお金に余裕ができれば、老後の生活において外食の回数を増やす、旅行に行くなど生活の質を向上させることができます。

生命保険効果がある

マンション経営は生命保険効果もあります。

ローンでマンションを購入する場合、団体信用生命保険(団信)という保険に入ります。これはローンを返済中、万が一債務者が死亡もしくは高度機能障害を負った場合に団体信用生命保険がローンの残りを支払ってくれるというものです。つまり残された家族は、ローンを完済したマンションから毎月安定した家賃収入を得ることができるわけです。もちろん、まとまったお金が必要な場合は、マンションを売却することも可能です。

また、最近の団体信用生命保険の中には、金利を上乗せすることがないがん保障特約付の商品もあり、この場合、所定のがんと診断されたら住宅ローンの借入残高が0(ゼロ)になります。また、家賃収入を医療費に充てることも可能な団体信用生命保険もあります。

節税効果(所得税・住民税)

マンション経営には、節税効果もあります。

例えば、年間800万円の給与所得の人がマンション経営を行い、不動産の所得で300万円の赤字が出た場合、所得を損益通算して課税所得が500万円になり、課税対象となる所得金額が少なくなります(注:給与取得控除などは省略します)。

課税対象となる所得金額が少なくなれば所得税や住民税の税額が安くなるので、節税効果が生まれます。

相続税対策になる

マンションなどの不動産が相続税対策になります。簡単に説明すると、現金で1億円相続するより、1億円で購入した不動産を相続した方が相続税は安くなるのです。なぜなら、現金1億円は相続しても額面通り1億円の評価額となりますが、不動産の評価は路線価、さらに賃貸している点などが考慮されるからです。そのため、約5〜6割で評価されて約5000〜6000万円前後の評価額となります。

相続税は、相続する財産の評価額から基礎控除額を引いた額に、相続税率をかけて計算されます。財産の評価額が低ければ低いほど、支払うべき相続税は少なくなります。

インフレ対策になる(現物資産の強み)

お金の価値が下がり、物の価値が上がる現象のことをインフレ(インフレーションの略)といいます。現在、世界的にインフレ傾向が続いており、日本もインフレになる可能性も十分あります。

この場合、現金をそのまま持ち続けるだけでは現金の価値が下がり続けることになり、不動産を購入すれば経年劣化による価値の減少が考えられますが、インフレの影響自体はプラスに働きます。このように、不動産はインフレに強い資産といえます。

レバレッジ効果がある(少額の資金ではじめられる)

少額の元手で融資を受けて投資効果を高めることを、レバレッジ効果といいます。

マンション経営においても、ローンを利用してはじめる場合とローンを受けずに現金でマンションを買う場合とでは、収益に大きな差が出ます。

利回り5% の1000万円のマンション(A)を購入する場合と、1000万円の自己資金と2000万円の融資(年利3%)を受けて同じ利回り5%の3000万円のマンション(B)を購入した場合を比較してみましょう。

Aの場合、1年目の年間収益は50万円です。Bの場合、1年目の収益は年間収益の150万円から利息分の60万円が差し引かれるため、実質収益は90万円です。同じ1,000万円を投資しても、Aの場合とBの場合では30万円の収益の差が生まれます。

このように、不動産投資ではレバレッジを効かせて効率良く資産を増やすことができるのです。

3つの視点で見た、マンション経営と他の投資(株式・FXなど)の比較

マンション経営と株式やFXといったその他の投資との違いについて、収益性、安定性、流動性の3つの面から比較します。

収益性

上述の通り、マンション経営の利回りは平均で4〜5%程度です。これは、株式やFXと比べると低い利回りといえます。

投資利回りは、リスクとリターン(収益)の関係で決まります。例えば、銀行の定期預金は元本保証があるため、リスクはほぼありません。その代わり、利回りはネット銀行の高いものでも0.3%程度です。なお、株式投資やFXは1年で元本が2~3倍以上になることもあれば、逆に短期間で元本を失う可能性もあります。

収益性という面から見ると、マンション経営は短期間に大きな収益を上げたいという人向きの投資ではなく、長期にわたって安定した収益を生み出したいという人向きの投資方法といえるでしょう。

安定性

FXは外貨為替の取引、つまり外国のお金を売買する取引なので、国の事件や事故、ニュースなどの影響を直接的に受けます。それに対して、マンション経営は安定して月々決まった額の家賃収入を得られます。加えて、地震保険などの万一の災害に備えるための対策を打つことができるため、他の投資に比べると安定性に優れているといえるでしょう。

流動性

株式やFXは流動性に優れており、現金化も容易ですが、マンション経営は売却手続きの完了までに時間がかかるため、やや流動性に欠けます。しかし、マンションの売却の場合は投資家はもちろん、個人で住みたいという人も購入候補者になるので、売却面では有利です。ただ、アパートの売却は買い手が投資家に限定されることには注意しましょう。

マンション経営をはじめるときに押さえておきたい3つの心がけ

 

最後は、マンション経営をはじめるために押さえておきたいポイントについて、解説していきます。

特に必要な資格はないが、“宅建”は取得しておいて損はない

マンション経営をはじめるにあたり、特に必要となる資格はありませんが、宅地建物取引士、通称「宅建」はマンション経営を行う人におすすめの資格です。宅建の資格を取得すれば、不動産取引に必要な知識が得られて経営に役立つほか、不動産会社の話に間違いがないかなども判断できるようになるからです。

ローンを受けるには会社勤めが有利だが、自営業も不可能ではない

マンションは自己資金だけで購入するのではなく、自己資金と金融機関からの融資で購入します。金融機関は返済が滞るリスクを回避するためにも安定的な収入がある人に融資したいと考えるので、自営業よりも会社勤めの人の方が融資を受けられる可能性が高いです。

とはいえ、マンション経営をはじめたい自営業の人もいるはずです。自営業の人はまず、自己資金を貯めることからはじめましょう。そして、直近3年間の所得が安定していることを証明できるよう、本業の収入を安定させることが重要です。

不動産会社に相談する

マンション経営をすると決意したら、まずは投資物件を取り扱っている不動産会社に相談に行くか、近場のマンション経営セミナーに参加してみてください。このとき、複数の不動産会社を訪れ、自分の探しているマンションのエリア、価格帯、築年数などを伝えることがポイントです。

最初からいきなり「買うぞ!」とは気負わずに、まずは不動産会社やセミナーに行って情報収集からはじめてみることをおすすめします。