2016年2月16日に導入された金融政策、「マイナス金利政策」。中央銀行である日本銀行(以下、日銀)が政策金利を0(ゼロ)%よりも低い水準にする政策のことです。

果たして、マイナス金利政策が不動産市場やマンション経営に与える影響は、プラスなのでしょうか? それとも、マイナスなのでしょうか?

マイナス金利政策で、お金がたくさん出回る?

マイナス金利政策を簡単に説明すると、「民間銀行が日銀に預け入れる預金の金利がマイナスになる」政策です。

民間銀行は、マイナス金利政策のもとでこれまで通りに日銀に資金を預けていると、逆に金利を支払う必要が出てくるため、利益が減少します。つまり、民間銀行の預金を日銀へ預けるよりも、属性の高い民間企業への融資や有価証券の購入に割り当てる方が資産を保てる、または増やせることになります。

これらの事情からわかるように、マイナス金利政策導入によって政府が期待するのは、「市場に、お金がたくさん出回ること」です。

ちなみに、ヨーロッパではこれまで、スイスやデンマークなどの中央銀行が導入しています。

民間銀行はお金を増やすために融資をする

それでは、民間銀行からのお金の流れは実際、どのように変化したのでしょうか?

当然、預金をしているだけではお金が減ってしまうため、少しでもお金を増やせそうな企業や証券向けの融資に、資金を振り分けていきます。とはいえ、融資先として選択する基準を落とし、不良債権になるリスクを負う事態は民間銀行も避けなければなりませんから、当然、「どんな企業でもいい」わけではありません。

マイナス金利政策後に不動産への融資割合が伸びている理由

民間銀行の不動産への融資額は、今後さらに増えていくと予想されます。

企業への融資は、どんなに規模が大きく売上高があったとしても、社員の不祥事、商品やサービスの欠陥、自分たちではどうにもすることができない世界情勢の変化などといった不確定要素が多いため、「優良で安全な融資先である」と判断することは、容易ではありません。

それに比べると、不動産は安定した賃料収入があり、融資する物件自体を担保として“人質”に取れます。不動産が優良融資先に分類されているのは、このような理由からです(都心部にあり資産性が高いものは、なおさらです)。

事実、不動産への融資割合はマイナス金利政策発令後、順調に伸びています。

消費者が受ける、マイナス金利政策の影響

消費者視点で見ると、不動産への融資額が伸びている事実は、購入する物件の選択肢が今までより増えることにつながっているので、うれしい事態といえるでしょう。

しかし、どんな物件でもいいというわけではありません。マンション経営に取り組むにあたり、物件を検討する目線は落とすことは、避けましょう。金利が高かろうが低かろうが、押さえるポイントも変わらずに保つべきです。

マイナス金利政策でも国債が売れる、ある理由

忘れてはいけないのが、マイナス金利状況下での国債の動きです。国債はどのような動きを見せ、不動産にどのような影響を与えているのでしょうか?

現在、国に利子を払ってでも国債を買いたい金融機関が続出し、政府は借金する立場でありながら、「借りればもうけが出る」という、少しおかしな状況が続いています。このような状況を生み出している理由は、短期国債が信用力の高さから換金性に優れており、日本銀行からお金を借りる場合や金融機関同士が取り引きする際の担保にもなるからです。同時に、これが金融機関が利子を払ってでも一定量の国債を手元に置いておきたい理由でもあります。

さらに、国債購入時、金融機関は「日銀が高く国債を買ってくれるだろう」と見越しています。なぜなら、市場にお金を流して経済を活性化させたい思惑がある日銀が、金融緩和の名のもとに国債をどんどん購入した結果(現在、7割ほどを購入)、国債の品薄状態が続いているからです。

融資を受けてマンション経営をするのであれば、追い風

国債が売れると長期金利は下がるため、住宅ローン超低金利時代がしばらく続く可能性が高いといわれています。

オリンピック効果や建築資材の高騰などで物件価格は上昇している現状ですが、どの時代と比較しても、低金利であることは間違いありません。融資を受けてマンション経営を考えるのであれば、この状況はポジティブに捉えられることでしょう。