家賃収入だけで生計を立てている人は、実際にどのくらいいるのでしょうか。また、そのためには不動産をいくつ所有し、どのくらいの利益を出さなけらばならないのでしょうか。

今回は、これから不動産投資をご検討されている方に向けて、オーナーのライフプランに関する疑問を1つずつ丁寧に解説していきます。ぜひご覧ください。

生計を立てるために必要な家賃収入とは

総務省統計局「家計調査」(家計収支編)」の2019年4月分データによると、2人以上の勤労者世帯の消費支出(商品やサービスの購入のために支出した金額のこと)は、1世帯当たり301,136円です。このほかにも、社会保険料や所得税などの支払いをしなければならず、預貯金もしたいところです。毎月、毎年の目標額を具体的に定めて、賃貸経営に取り組みましょう。

家賃収入を増やすために必要なこと

家賃収入を増やすためには、

・空室率を改善し、入居率を高めること
・賃貸できる戸数を増やすこと

が考えられます。

賃貸できる戸数を増やすには、所有する物件数を増やすことが必要です。将来の物件増を見越して、初めから信頼できる不動産会社と良い関係を築き、物件を増やす際の相談もできる体制を作っておきましょう。

賃貸経営成功のために必要な基礎知識

賃貸経営に、最低限必要な知識をご紹介します。

キャピタルゲインとインカムゲイン

賃貸経営で得られる収入には次の2つがあります。

インカムゲイン(運用益)は、資産(賃貸物件)を保有していることで得られる収入を指し、家賃収入が該当します。キャピタルゲインは、資産を売却することで得られる収入です。

利回りとは

賃貸経営で投資した金額に対し、どのくらいの家賃収入(利益)が得られるかを表す指標に「利回り」があります。

表面利回り(グロス)
表面利回り=年間収入÷物件価格×100
実質利回り(ネット)
実質利回り=(年間収入-諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

収益不動産の広告に記載されるのは表面利回りです。しかし、これには経費などが考慮されていませんので、実質利回りも必ず確認するようにしましょう。

ローンについて

賃貸物件の購入費用は、不動産投資ローンを利用する方が多いでしょう。ローンの金利は金融機関ごとに異なります。融資額が多額になるので、金利が1%違うだけでも、返済総額が大きく変化することには注意が必要です。

不動産管理会社について

賃貸物件のオーナーが利用する不動産管理会社の業務は、主に次の2つです。

仲介業務:入居者の募集、賃貸借契約の締結など
管理業務:入居者からの家賃の徴収、苦情への対応、物件の清掃、メンテナンス、法定点検など

不動産会社によっては、仲介業務か管理業務(賃貸管理・建物管理)の一方しか行わない会社、両方とも行う会社などがあります。ご自身のニーズと、不動産会社のサービス内容を検討して、会社を選びましょう。

不動産投資を始める前に考えなければいけないこと

不動産投資で何を目指すかはっきり決め、自分の進むべき道を見失わないようにしましょう。

投資目標·目的の設定

賃貸経営をなんのために始めるのか、まず明確にしましょう。いくつもの目標や目的がある場合には、優先順位を付けておきましょう。


・キャピタルゲイン獲得のため
・インカムゲイン獲得のため
・所得税や相続税の節税のため
・ご自身に万が一のことがあった場合に、家族が生活を維持できるようにするため

投資方法の決定

投資目標・目的が明らかになれば、どのような賃貸物件を手に入れ、どのように運営すべきかが見えてきます。

たとえば、キャピタルゲイン獲得が最優先なら、人気が高く土地価格が上昇しやすいエリアで物件を手に入れなければなりません。物件が老朽化しないうちに手放す前提で戦略を立てるべきでしょう。

物件選びのヒント

物件の種類やその特徴を確認し、ご自身の希望に合う物件を選びましょう。

区分マンション

マンションの1室を所有し、その部屋を賃貸に出す方法です。

集合住宅の一棟所有や戸建て賃貸に比べて、初期費用を安く抑えることができ、流動性も高い資産なので売却がスムーズに進むことが多いです。ただし、マンションの築年数が経過している場合などは、ローン審査が厳しくなる場合があります。

一棟アパート

アパートを一棟丸ごと建設、あるいは購入して賃貸に出す方法です。

複数の部屋を賃貸することができるので、入居者が完全に0になるリスクを抑えることができます。一方で、経年劣化が進めばリフォーム費用が多額になる点に注意しましょう。

戸建て

戸建て住宅を購入して賃貸に出す方法です。建物だけでなく土地も所有するため、資産価値を維持しやすいこと、集合住宅に比べて、多少立地条件が悪くても、周辺環境が良ければ入居希望者が現れやすいことがメリットです。一方で、建物だけでなく、庭の植栽管理や隣人との関係維持なども必要となります。

賃貸併用住宅

オーナーの住居と、賃貸するスペースが併設された物件です。オーナーの自宅用スペースが賃貸部分より大きいかどうかが、金利面で有利な住宅ローンを利用できるか、それとも金利が高めの不動産投資ローンを利用しなければならないかの境目です。建築計画を立てる段階で、間取りやローンの利用方法、ご自身の希望についてしっかりと検討することが大切です。

新築と中古の比較

新築のアパートやマンションを購入して賃貸経営を始めるのか、それとも中古物件を購入して始めるかの決断は、どうすればいいでしょうか?

ローンの利用について

一般的には新築物件ほどローン審査に通過しやすく、築年数が経った物件ほどローン審査が厳しくなります。築年数が経ち、管理がずさんな物件は、融資が受けられる金額も下がってしまう可能性があります。

空室率について

新築物件ほど空室は埋まりやすいです。築年数が経過した物件は、設備も古く、セキュリティ面に不安があったり、インターネット環境が整っていなかったりするなどの理由で、敬遠されることもあります。

実際の選定で必要な知識

ほかにも、物件の選定に必要な知識がありますので、ご紹介します。

おすすめエリア

「人が増える可能性が高いエリア」を探しましょう。交通の便が良く、企業や商業施設などが今後も増えていく可能性があったり、人口が増加し続けていたりする地域では、賃貸需要も高まると考えられます。

立地

最寄りの鉄道駅まで5分以内(郊外なら10~15分以内)、商業施設や医療施設が近くにあるなど、生活利便性の高い物件は入居者が集まりやすくなるでしょう。

耐震基準

中古物件を購入するときは、1981年6月1日より前の「旧耐震基準」によって建築確認されて建てられたものか、それとも以降の「新耐震基準」によって建築確認されて建てられたものなのかを確認しましょう。旧耐震基準が「震度5の揺れでも倒壊しない」ことを目指して設けられたのに対し、新耐震基準は「震度6~7の揺れにも倒壊しない」ことを目指して設けられています。

物件購入資金はどう確保する?

不動産投資には多額の費用が必要です。どのように確保するかを検討しましょう。

物件はできるだけ安く購入する

「どのような物件に投資したいか」を思い描いたら、その思いを実現できる範囲で、なるべく安く購入する方法を考えましょう。多くの物件の中から、納得できる範囲内で安いものを選ぶ、物件の持ち主に値引き交渉をする、などの方法があります。

任意売却や相続物件に注目する

住宅ローンの支払いが難しくなった持ち主が、任意売却により物件を手放そうとするケースがあります。持ち主は、値引き交渉などに応じてでも、早く売却を決めようとする可能性が考えられます。

相続物件も、早く遺産分割を済ませたい相続人が、値引き交渉に応じてくれる可能性もあります。

物件でなく「土地」を探す方法も

建物の築年数が経過した物件は「土地(古家付き)」として売却されていることがありますので、「土地」の売却情報を探してみましょう。

頭金

購入したい物件の代金のうち、自分で用意する金額を頭金と呼びます。融資を受ける額はできるだけ抑え、頭金の割合をできるだけ多くすれば、後のローン返済の負担が軽くなります。

自己資金(初期費用)

頭金のほかにも、不動産の登記費用、印紙代、司法書士報酬などの諸費用がかかります。物件価格の3~5%程度は用意しておくほうがいいでしょう。

「物件購入の頭金+諸費用」の金額を、自己資金で準備しましょう。

無理のないローンの利用法

ローンについては、早めに返済したいと考えがちですが、早めに返済しようとすると、月々の返済額を高額に設定せざるを得なくなり、そうすると資金繰りが厳しくなります。無理のない返済額を設定しつつ、資金の余裕ができたら繰り上げ返済を行うという計画を立てて、返済することにすべきでしょう。

まだ経営実績が浅く、金融機関からの信用力があまりないオーナーが利用できるローンなどをご紹介します。

日本政策金融公庫の利用

ただし、融資期間は10年~最長で20年です。また、収益物件への貸付の借入限度額は基本的に4,800万円までとなっているので注意しましょう。

物件の運用についても事前に検討を

賃貸物件の運用の仕方について、物件を取得する前に考えておきましょう。

管理委託する業者の選び方

賃貸物件の管理を、オーナー1人で行うのが難しい場合、管理委託できる不動産管理会社を探すことになります。信頼できる不動産管理会社はどう探せばよいでしょうか?

管理物件の入居率

不動産管理会社が管理している物件の入居率がどのくらいかを確認しましょう。入居率は地域によって異なりますので、複数の会社や物件のデータを比較することが大切です。

建物管理がきちんとされているか

不動産管理会社が管理する物件を実際に見て、共有スペースの清掃や設備の点検・メンテナンスが行き届いているか確認しましょう。

サブリース契約と集金代行の違い

サブリース契約とは、不動産会社がオーナーの物件を借り上げ、借り上げた物件を入居者に転貸する形の契約です。入居者がいなくてもオーナーに収入がある点がメリットですが、入居者から直接家賃を受け取る場合に比べて、収入が低くなります。

集金代行は、家賃の徴収を不動産管理会社に依頼する契約です。家賃収入の数%を管理料として不動産管理会社に支払います。空室があればオーナーの収入は低くなります。

確定申告と経費について

賃貸経営を始めたら、確定申告についての知識が必要となります。なお、家賃収入をはじめとする不動産収入のすべてに所得税がかかるのではなく、賃貸経営に必要な経費を差し引いた「不動産所得」に税金が課されます。

リフォーム費用

壁のひび割れや雨漏りの修復などを修理したり、古くなった設備を入れ替えたりするリフォーム費用は必要経費として計上できます。

仲介手数料

入居者を募集する業務を不動産管理会社に依頼し、仲介手数料をオーナーが負担した場合は、必要経費として計上することができます。

広告費

入居者募集のために広告費を負担した場合、必要経費として計上できます

管理委託費

物件の清掃や入居者の苦情対応などの管理業務を不動産管理会社に委託した場合、管理委託費は必要経費として計上できます。

事業の拡大を目指す

不動産収入が得られるようになったら、その収入を新たな物件に投資することで、さらなる不動産収入を得ることができます。

所有する物件を増やす

新たな物件を購入する際、ローンを利用するなら、その返済計画をしっかり立てておきましょう。すでに保有している物件の家賃収入だけで、新たな物件のローンを返済できる計画が理想的です。

まとめ

家賃収入だけで生計を立てることは、決して不可能ではありません。具体的にどのくらいの収入を得たいか、そのための必要経費はどのくらいか、収益を上げやすい物件はどのようなものかを知り、目標達成のためにできることから始めましょう。