今回は、不動産投資にも関わってくる贈与と相続がテーマです。

相続税は他の財産が相当多くない限りは、かかりません。仮にかかったとしても、わずかです。一方、贈与税は「相続時精算課税制度」を使えば、抑えることができます。なお、相続と贈与では、不動産取得税や登録免許税でも違いがあります。

相続税は基礎控除が大きい

相続税は、財産総額から「基礎控除」を差し引いた額に対してかかります。財産総額が基礎控除以下であれば、相続税はかからないことになります。

基礎控除は、「5000万円+法定相続人数×1000万円」です。妻と2人の子どもが相続人の場合、法定相続人が3人なので、基礎控除の額は8000万円になります。財産が8000万円以上なければ、相続税はかかりません。

なお、この基礎控除は2015年から縮小される予定で、「3000万円+法定相続人数×600万円」となります。法定相続人数が3人の場合、基礎控除は4800万円です。

この改正により、相続税がかかる人が大幅に増えるのではないかといわれています。しかし、4000万円を超える財産というのは、大きな数字であることに間違いありません。 また、仮に基礎控除を超える財産があったとしても、相続税は累進課税です。財産が大きくなればなるほど、税率が高くなります。逆にいえば、基礎控除を少し超えるぐらいの財産であれば、10~15%程度の税率で済みます。

「相続税は、相当の資産家でなければかからない。かかったとしてもわずか」と考えても、差し支えないでしょう。

相続税の基礎控除

改正前(2014年12月31日まで)改正後(2015年1月1日以降)
5,000万円+法定相続人数×1,000万円3,000万円+法定相続人数×600万円

相続税の速算表

改正前(2014年12月31日まで)改正後(2015年1月1日以降)
法定相続分に応じた取得額税率速算控除額法定相続分に応じた取得額税率速算控除額
1,000万円以下10%01,000万円以下10%0
1,000万円超
3,000万円以下
15%50万円1,000万円超
3,000万円以下
15%50万円
3,000万円超
5,000万円以下
20%200万円3,000万円超
5,000万円以下
20%200万円
5,000万円超
1億円以下
30%700万円5,000万円超
1億円以下
30%700万円
1億円超
3億円以下
40%1700万円1億円超
2億円以下
40%1700万円
3億円超50%4700万円2億円超
3億円以下
45%2700万円
3億円超
6億円以下
50%4200万円
6億円超55%7200万円

贈与税はまともに手続きをすると、莫大な税額になる

生前、財産を子どもに贈与すると、贈与税の対象になります。

贈与税は基礎控除が110万円しかなく、税率構造も違います。1000万円を贈与した場合、基礎控除110万円を差し引いた890万円が課税対象になりますが、現行法では、「890万円×40%-125万円=231万円」もの贈与税がかかってしまいます。2015年の改正では、贈与税の税率構造が多少緩和される予定ですが、それでも「890万円×30%-90万円=177万円」になります。

贈与税の速算表

現行改正後
基礎控除後の贈与額税率速算控除額基礎控除後の贈与額税率速算控除額
200万円以下10%0200万円以下10%0
200万円超
300万円以下
15%10万円200万円超
400万円以下
15%10万円
300万円超
400万円以下
20%25万円400万円超
600万円以下
20%30万円
400万円超
600万円以下
30%65万円600万円超
1,000万円以下
30%90万円
600万円超
1,000万円以下
40%125万円1,000万円超
1,500万円以下
40%190万円
1,000万円超50%225万円1,500万円超
3,000万円以下
45%265万円
3,000万円超
4,500万以下
50%415万円
4,500万超55%640万円

「相続時精算課税制度」を使えば贈与税は抑えられる

ただ、贈与税には「相続時精算課税制度」という特例があります。これは、贈与時の贈与税額を抑える代わりに、相続のときには「贈与した財産を足し戻して」相続税を計算するというものです。

相続時精算課税制度を使った贈与の場合、2500万円までは贈与税がかかりません。2500万円を超えたとしても、税率は20%です。

また、1000万円のマンションを贈与する場合も、相続時精算課税制度を使えば贈与税がかかりません。贈与者が死亡したとき、この1000万円も加えて相続税を計算することになりますが、相続税の基礎控除は大きいので、通常であれば相続税もかからないことになります。

 

不動産取得税と登録免許税は、贈与の方が重い

贈与で不動産を取得した場合、不動産取得税がかかります。固定資産税評価額の3%(土地は実質1.5%)です。通常の贈与(暦年贈与)でも、相続時精算課税制度でも変わりません。また、相続での取得の場合、不動産取得税はかかりません。

また、登記の際にかかる登録免許税も贈与と相続で異なります。贈与の場合(暦年贈与でも相続時精算課税制度でも)、固定資産税評価額の1000分の20が税額になり、相続の場合は固定資産税評価額の1000分の4で済みます。