資金計画は売却を想定してつくるべきでしょうか? 確かに、売却価格を意識すること自体は正しい考えです。しかし、「物件の価格が下がること=損」ではありません。

家賃収入を安定させるために、売却価格を意識する

一般的に投資の採算性を計る際は「毎年得られる収益」だけではなく、「最終的に売却したときの収入」も合わせて計算します。

もっとも、不動産投資の場合、目的が賃料収入というインカムゲインを得ることであり、そのインカムゲインが長期間にわたって期待できるという特性があります。そのため、「最終的に売却」という視点を持たない方もいるのですが、不動産投資で売却価格を意識すること自体は正しく、大切なことです。事実、「一つの物件で長期にわたって賃料収入を得る」のではなく、「数年間で売って、また別の物件に投資する」というスタンスで不動産投資をしている方もいます。

たとえ売却しないにしても、売却価格が大きく下がるような物件は空室が発生するリスクも高いため、売却価格と賃料収入は無関係とはいえません。売却価格を軽視すると、肝心の家賃収入にも影響します。

近隣の物件の動向に目を光らせる

不動産会社に査定してもらうことで、購入した不動産の価格を把握することができます。ただ、コストがかかるため、頻繁に査定を依頼することは、おすすめしません。

大切なことは、近隣の事例をチェックすることです。「空室が発生し、入居者募集が増えた」「良い物件と思えるマンションが売りに出されているが、なかなか買い手がつかない」といった状況になったら、そのエリア自体の人気に“かげり”が出てきた可能性があります。価格が大きく下がる前に売却を検討するのもよいでしょう。

逆に、「新築の物件がたくさん売れている」「近隣の物件に空室が少ない」といった状況であれば、エリア自体の人気が高いということです。そのまま物件を保有するのもあり、高く売れるうちに売ってさらに大きな物件に投資するのもあり、です。

「損益分岐点」を意識する

売却価格を意識することは大事なことですが、神経質になりすぎるのは、NGです。

建物は自然に老朽化するので、多少の価格下落は避けられません。逆にいえば、多少価格が下がっても「人気がない」「売り時」とは限らないのです。

大切なのは、「いくらまでなら下がっても、損はしないか」というライン——すなわち「損益分岐点」を把握しておくことです。

もし、100で買った不動産の価格が80に下落しても、5の利益を8年間得ていたら、「5×8」+「80」-「100」……20のもうけがあります。この場合、価格が60以下になってはじめて損失が発生する計算、つまり、損益分岐点の価格は60となります(下図参照)。

価格が下がっても、すぐ「損をした」ことにはなりません。損益分岐点を意識しながら、価格動向をチェックしましょう。

収益不動産は長く持ち続けるほど有利

ワンルームマンションのような収益不動産は、毎月の収益をもたらしてくれます。ローン返済中は収支がそれほど芳しくなくても、ローン返済後はとても多くの収益になるでしょう。そのような理由から、ローン返済後の収益を生み出すまで、売却はあまりおすすめできません。

ローン返済中に売却をするような事態にならないように、無理のない資金計画を立てることが重要です。