投資用の不動産は、相続税を計算する上での評価が現預金よりも低くなるため、その分、相続税額を下げる効果があります。どのような仕組みで相続税対策につながるのか、見ていきましょう。

現預金が不動産に変わることで、評価が大きく下がる

不動産投資は、相続税対策としても注目されています。現金を不動産に変えることにより、財産としての評価が下がり、結果、相続税を引き下げる効果があるからです。

土地を1億円で買い、その上に1億円でマンション用の建物を建てたとします。相続税を計算する上で土地は路線価(ろせんか)で評価しますが、路線価は時価(この場合、1億円)の8割程度です。さらに、マンション用地の場合「貸家建付地」として、評価が約2割下がります。つまり、1億円で買った土地は相続税評価上、「1億円×0.8×0.8=6400万円」程度の評価になるというわけです。

建物は固定資産税評価額で評価されますが、固定資産税評価額は時価の6割程度。さらに、人に貸している建物は評価が3割下がります。1億円で建てたマンションは、「1億円×0.6×0.7=4200万円」程度の評価になります。

土地と建物を合わせると1億600万円の評価となり、2億円の現金が約半分の評価に下がったことになります。相続税の税率を仮に30%とすると、約3000万円の節税につながるのです。

※国が定めた1平方メートルあたりの価格のこと。

家族の生活を守る手段にもなる

投資した不動産を財産として相続できるのは、残された家族にとってもメリットがあります。

相続税を納めるために、家族に金銭的な負担がかかりますが、不動産が残ることで、売却収入や家賃収入を得ることができ、将来の生活も安定します。相続税節税だけではなく、相続後の生活にも不動産投資は効果を発揮するのです。

増税が避けられない相続税

相続税は、財産総額から「基礎控除額」を差し引き、残った額に対して課税されます。2015年の改正では、税率構造が見直され、多くの資産を遺して亡くなられた場合、相続税は非常に重くなります。相続税の増税の流れは今後も続くとみられ、対策が急務となっています。

相続税の基礎控除

改正前(2014年12月31日まで)改正後(2015年1月1日以降)
5,000万円+法定相続人数×1,000万円3,000万円+法定相続人数×600万円

遺産に係る基礎控除額は、「3000万円+法定相続人数×600万円」です。妻と2人の子どもを残して亡くなった場合、法定相続人が3人なので、基礎控除は4800万円になります。

2014年12月31日までの基礎控除額は、「5000万円+法定相続人数×1000万円」でしたので、妻と2人の子どもを残して亡くなった場合、財産総額が8000万円以下であれば、相続税はかかりませんでした。

しかし、この基礎控除が2015年1月1日以降、「3000万円+法定相続人数×600万円」に縮小されました。これにより、課税対象になる人が大幅に増え、税法改正前の2014年に相続税が課税された人の割合は4.4%であったのに対し、改正後の2015年以降は8%台に増加しています。

とはいえ、4000万円を超える財産というのは、大きな数字であることに間違いありません。 また、仮に基礎控除を超える財産があったとしても、相続税は累進課税です。財産が大きくなればなるほど、税率が高くなります。逆にいえば、基礎控除を少し超えるぐらいの財産であれば、10~15%程度の税率で済みます。

「相続税は、相当の資産家でなければかからない。かかったとしてもわずか」と考えても、差し支えないでしょう。

相続税の速算表

改正前(2014年12月31日まで)改正後(2015年1月1日以降)
法定相続分に応じた取得額税率速算控除額法定相続分に応じた取得額税率速算控除額
1,000万円以下10%01,000万円以下10%0
1,000万円超
3,000万円以下
15%50万円1,000万円超
3,000万円以下
15%50万円
3,000万円超
5,000万円以下
20%200万円3,000万円超
5,000万円以下
20%200万円
5,000万円超
1億円以下
30%700万円5,000万円超
1億円以下
30%700万円
1億円超
3億円以下
40%1700万円1億円超
2億円以下
40%1700万円
3億円超50%4700万円2億円超
3億円以下
45%2700万円
3億円超
6億円以下
50%4200万円
6億円超55%7200万円