赤字だったとしても、「将来に向けた準備」と捉えれば、実はとても有利なケースもあります。また、減価償却費によって赤字になる場合、実際の資金収支はむしろプラスになっています。

所得税が節税できる……といっても、「赤字が望ましい」わけではありません。

年収が800~900万円あるサラリーマンの所得税・住民税を合わせた税率は、30%です(家族構成などで、多少異なる場合もあります)。仮に、100万円の赤字が発生したとすると税金は30万円抑えられますが、結局は70万円損をした計算になります。税金が抑えられても、デメリットの方が大きいのです。

家賃収入にかかる所得税・住民税

マンションやアパートを経営するオーナーとなり、毎月家賃収入が入るようになると収入額に応じて税金を納める必要があります。得た家賃収入で払わねばならない税金は次の2種です。

1. 所得税
オーナーの個人名義で経営するマンション、アパートの家賃収入にも所得税がかかります。

2.住民税
都道府県、市区町村が行政サービスを提供するために徴収している税金です。

また、オーナーが不動産経営のために法人を設立していると法人税や法人事業税、法人住民税がかかります。法人税は事業活動で得た所得にかかる税金で国に納付します。法人事業税は法人の所得に対して課される地方税で都道府県に納付します。さらに法人も都道府県や市区町村に住民税を支払うことになります。

詳しくはこちら|家賃収入にかかる税金は?計算方法と確定申告のやり方を知ろう

良い赤字、悪い赤字

赤字にも「良い赤字」と「悪い赤字」があります。

良い赤字

借り入れをして不動産投資をした場合、返済負担があるため、資金収支がマイナスになることがあります。一つ、例を挙げてみましょう。

2000万円の物件を銀行借り入れを使って購入した場合、毎月1万円程度の持ち出しが20年にわたって発生する可能性があります(物件価格や返済条件にもよります)。しかし、これは言い換えると「毎月1万円程度の負担で、20年後に2000万円の資産が手に入る」こと。20年後、貯蓄によって2000万円を用意するためには、毎月8万円程度のお金が必要となりますが、不動産投資であれば毎月1万円で済む計算になります。

このような「ローン返済による赤字」は「良い赤字」といえるでしょう。

悪い赤字

「空室が発生して、家賃収入が上がらない」「設備の不具合で思わぬ経費がかかった」ことが原因の赤字は、仮に節税ができてもデメリットの方が大きくなる、「悪い赤字」です。

赤字でも、赤字ではなくなる? 減価償却費の存在

不動産所得の場合、「赤字でも実はもうかっている」というケースがあります。建物の価値が時間の経過とともに下がることを帳簿上で経費として計上する「減価償却費」があるからです。なお、減価償却“費”とありますが、あくまで「帳簿上」の話なので、実際にお金を支出するわけではありません。

賃料収入が100万円あり、固定資産税などの「お金を支出する経費」が80万円だったとしましょう。仮に減価償却費が50万円だとすると、帳簿上の経費は130万円となり、30万円の赤字が発生するのですが、この30万円の赤字が給与所得などの他の所得と合算できるため、所得税・住民税が抑えられます(税率が30%であれば、9万円)。

不動産投資の実際の「資金収支」は、100万円(賃料収入)-80万円(固定資産税などの「お金を支出する経費」)=20万円。実際には20万円もうけているにもかかわらず、帳簿上は30万円の赤字となり、所得税・住民税が節減できる仕組みになります。

減価償却費の計算

減価償却費とは、物件の経年劣化で目減りする資産価値を分割して費用化したもので1年ごとに経費として計上できます。実際に毎年支出を伴わない、帳簿上の経費ともいえるものです。毎年計上することで、より大きな節税効果が期待できるようになります。

一般にアパートやマンションなど住宅用建物の耐用年数は、以下のように分類されています。

木造:22年
軽量鉄骨造:19年または27年
重量鉄骨造:34年
鉄筋コンクリート造(RC)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC):47年

減価償却費の計算方法は「取得価額×定額法の償却率」ですが、建物の価格(取得原価)を上記の耐用年数で割った額とほぼ同額と覚えておくとよいでしょう。

詳しくはこちら|家賃収入は確定申告が必要?不動産所得の経費について【徹底解説】


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