2015年の新政権経済施策と不動産市場の見通しは?

今年2015年は未(ひつじ)年になります。未年というのは、相場の格言では「未辛抱(ひつじしんぼう)」と言われ様々なことに耐え忍ぶ年と言われています。

2003年も未年でしたが、2004年から07年へと資産インフレが進むスタートの年になったとも言えます。未年の「未」は「未来の未」です。この未年を新たなスタートとし、2015年から近未来に向かう大切な節目の年となるでしょう。

どう変わる日本経済、新政権でインフレは進むか?

2014年12月に衆議院選挙が行われ自民党が過半数の獲得となりました。「アベノミクス」の是非について問われた選挙とも言われていましたので、これにより引き続き本格的に「アベノミクス」政策が実施されることになりました。

2012年12月に発足した第二次安倍内閣では、「3本の矢」と呼ばれる経済政策が行われていましたが、今回の第三次安倍内閣でも引き続き強力に推進されそうです。ここで「アベノミクス3本の矢」についてもう一度見てみましょう。

アベノミクス3本の矢

項目内容
第1の矢大胆な金融政策金融緩和により流通するお金の量を増やす
第2の矢機動的な財政政策切れ目のない経済対策を実施
第3の矢民間投資を喚起する成長戦略規制緩和や制度改革などで民間企業の投資と
新規参入を促し、女性・若者・高齢者を含めた
人材が活躍できるような社会を目指す。
成長の成果を全国に。

(参考資料:自民党マニフェスト)

「3本の矢」とは、第1の矢が「大胆な金融政策」、第2の矢が「機動的な財政政策」、そして最後の第3の矢が「民間投資を喚起する成長戦略」となっています。

「大胆な金融政策」では金融緩和を、「機動的な財政政策」では経済対策等を、そして「民間投資を喚起する成長戦略」では規制緩和等により企業の支援や雇用の拡大などを目指しています。

既にアベノミクスの効果は上がってきており、2014年12月には日経平均株価は7年4か月ぶりに1万8000円台に回復、2015年の大発会午後の終わり値は17330円となりました。

2014年12月27日には新たな経済対策も発表され、その規模は3.5兆円にのぼります。消費税引き上げで足踏みをしている経済の底上げを狙い、国内総生産(GDP)を実質で0.7%程度押し上げる効果を見込んでいます。企業業績の好調により税収は4.5兆円増加、2015年度の当初予算は過去最大の96兆3420億円となり、成長戦略を促進等させる予算編成となっています。

景気の上昇とともに、不動産の取引も活発になってきています。企業の不動産投資も多くなり、J-REATによる不動産物件の取得も増加、大型物件の取引も多くなっています。世界的にみても日本の、特に東京の不動産は優良で評価が高く世界の投資家に注目されています。

このように不動産需要が増加する中、マンション価格の値上がりも続いています。国土交通省が発表した不動産価格指数によると2014年9月の全国の不動産価格指数の中で特にマンション価格の上昇率が最も高く、2008年を100とする指数で119.7と約8年で20%の上昇となっています。

次にマンション価格上昇の要因を項目ごとにみてみましょう。

今後の不動産市場とマンション価格は?

国土交通省が発表した主要都市の高度利用地地価動向報告(『地価LOOKレポート』〈2014年7月1日~10月1日)によると、全国主要都市・高度利用地150地区のうち、上昇が124地区(前回120)、横ばいが26地区(前回28)、下落が0地区(前回2)となり、上昇地区が全体の8割を超え、下落地点がゼロとなりました。東京では銀座中央や新宿三丁目などの商業地が3~6%の上昇を見せるなど、都心部を中心に地価の上昇が続いているようです。

第2次安倍政権発足前の2012年第3期(7月1日~10月1日)と比べると実に地価上昇地点は10倍以上になっています。

主要都市の高度利用地地価動向報告(『地価LOOKレポート』)全国(150地点)<前期比>

2014年第3期10月2014年2期6月
地価上昇地点124120
地価横ばい地点2628
地価下落地点02

東京圏(65地点)(安倍内閣発足前との比較)

2014年第3期10月2014年2期6月
地価上昇地点5811
地価横ばい地点741
地価下落地点013

円安の影響は?

アベノミクスの影響により円安も進んでいます。かつて円高で輸出企業などにダメージが続きましたが、現在では歴史的な円安が続いています。2012年には1ドル=約80円でしたが、現在は一時120円まで円安が進行。輸入資材にも大きな影響を及ぼしています。

円安はどれだけ進んだか

2012年2014年ドルの上昇率
1ドルに対する円のルート80円120円50%の上昇

単純計算では、円安により輸入資材は1.5倍に値上がりしたことになります。これは国内のインフレの要因となるとともに、建築費にも影響してきます。

建築費は?

建築費は上昇が続いています。一般財団法人建設物価調査会総合研究所の調べによると、2014年11月の工事費指数は工事費原価で116(2005年=100)と2014年1月の110から約6ポイント上昇、2005年からは約15ポイントの上昇となっています。

工事費指数の推移

工事原価純工事費
2009年103.2103.3
2010年99.098.9
2011年100.2100.1
2012年102.9103.0
2013年106.3106.5
2014年1月110.6111.1
6月113.6114.1
7月113.6114.1
8月113.4113.9
9月116.0116.6
10月P116.1P116.7
11月P116.0P116.6

※注:2005年=100、Pは暫定値。
(出典:一般財団法人 建設物価調査会 総合研究所『建築費指数』)

また、建築資材の上昇に加え、建築現場での人手不足も大きな問題となっています。公共工事の入札などでも、建築費の上昇から入札が不調に終わり、規模の縮小などを余儀なくされるケースもあります。資材費と人件費のダブル値上がりが続けば、今後東京五輪など建設需要が増加すると見込まれますので、ますます建築費は上昇する可能性があります。

但し、現在原油価格が大幅に下落しています。ガソリン価格の下落が続けば若干ですが建築費にも良い影響を与える可能性もあります。

住宅着工は?

国土交通省が2014年12月に発表した2014年11月の新設住宅着工戸数は7万8364戸となり、前年同月の2013年11月と比べて14.3%の減少となり9カ月連続の減少となりました。全国的に着工は減少傾向にあります。しかしマンションは同2.4%増と2ヵ月連続の増加となりました。一般の住宅と比べてマンションは消費増税後の回復力が今年も一段と強まるでしょう。

東京都が2014年12月に発表した東京都の新築着工によると、2014年10月の新設住宅着工戸数は14,072戸と前年同月比では15.0%の増加となっています。10月までの12カ月累計では14万5,000戸台となり、2013年度の14万7,000戸台よりは減少していますが、長期的には増加傾向にあります。

全国的に着工が減少する中、東京では着工は増加しているようです。これは東京など大都市圏に人口・モノ・カネが集中しているからであると考えらえます。

東京都・過去の新設住宅着工戸数の推移(年度別・前年度月別/単位:上段戸、下段%〈前年同月比〉)

年度別前年度月別
平成15年度201,003
14.6%
平成25年 11月12,083
△1.4%
平成16年度183,543
△8.7%
平成25年 12月13,100
17.9%
平成17年度186,975
1.9%
平成26年 1月15,675
40.9%
平成18年度180,712
△3.3%
平成26年 2月10,710
△2.5%
平成19年度134,799
△25.4%
平成26年 3月10,587
△7.5%
平成20年度150,222
11.4%
平成26年 4月10,546
△10.7%
平成21年度104,455
△30.5%
平成26年 5月11,842
△10.2%
平成22年度123,996
18.7%
平成26年 6月11,011
0.6%
平成23年度133,589
7.7%
平成26年 7月11,448
△1.5%
平成24年度141,316
5.8%
平成26年 8月11,701
△12.3%
平成25年度147,978
4.7%
平成26年 9月12,340
△2.8%
平成26年 10月14,072
15.0%
12ヶ月累計145,115
1.7%

海外投資家の「日本買い」が増加

外国人投資家による日本の不動産投資、いわゆる「インバウンド不動産投資」が増加しています。先ほど、円安で輸入資材が値上がりしている点に触れましたが、ドルベースで見れば逆に日本の不動産が安く買えるので、外国人投資家に日本不動産への投資も増加しています。

アベノミクスや東京五輪、リニア中央新幹線や都内各地の再開発など、東京の魅力と期待が高まっている上に、為替レートの優位性もあり日本の不動産投資が世界中から注目されています。優良な投資用物件やワンルームマンションなどを、中国を始めアジアの富裕層が購入するケースも増えています。

このように世界的に見ても優良な日本の不動産は、今後も外国からの投資が増えると予想されます。

景気回復・消費増税と金利の行方は?

2012年4月に政府は物価上昇を確認し消費税率が8%へと引き上げられました。インフレ経済に向けて様々な政策が推進されています。

しかしアベノミクス第一の矢である「大胆な金融政策」により金利は史上最低水準にあります。低金利政策はアベノミクスの主要な施策であり景気回復の後押しとしてしばらく継続されると見られています。2017年には経済成長や物価に関わらず消費税率が10%となる方針が表明されているので、この間インフレターゲットの達成に向けてさらなる金融政策もとられる可能性もあります。2015年はインフレに向かっているが低金利、という状況が続くのではないでしょうか。

日銀は15年度中に物価上昇率2%に達成可能と表明していますが、ここにきて原油安が物価の押し下げ要因として台頭してきました。これによりインフレ率達成時期は遠のく可能性があります。言い換えればそれだけ金融緩和、低金利の時期が継続されることを意味するので、不動産投資家にとっては原油安は建築コスト押し下げ要因の他、ファイナンス面においても有利に働くことになります。

インフレで実質金利の低下も進み不動産投資資金の流入は増加が予想されます。経団連は昨年に引き続きベースアップ賃金の上昇については前向きな発言がありました。ベアも毎年続くことにより、日本国民の消費喚起につながるのではないでしょうか。

法人、個人向けともに不動産重要が増えることも予想されます。消費増税で一時的に落ち込んだ不動産市場もやがて回復することが期待されています。しかし地価・建築費の上昇が供給各社にとっても大きな懸念要因となり、今後はかつて「不動産ミニバブル」が進んだように不動産価格の高騰も考えられます。今後の不動産価格上昇と金利水準の2局面から考えると2015年は「不動産の買い時」と言えるのではないでしょうか。

どうして、今マンション投資が有利か?

消費税率引き上げの延期で1年半の猶予ができました。消費税が引き上げられれば、マンション価格が直接値上がりするだけではなく、諸費用や管理費等すべて上昇することになります。

2015年のインフレターゲットは実質1.5%と言われています。都心部を中心に急激に地価は盛り返しを見せており、不動産価格・資産価値が上昇していると言えます。

相次ぐ日銀の金融緩和政策の中、銀行の預金金利は低水準にありますが、貯蓄性の高い一時払い終身保険などは保険料の値上げや利率の引き下げなどが報道されています。貯蓄のメリットも少なくなり、またインフレが進めば現金の価値もますます下落してしまいます。

現在は、将来迫りくるインフレ時代の直前、デフレの最終期とも考えられます。地価・株価が上昇しはじめている現在、これほどの低金利という状況は歴史的にも珍しいことです。 長いデフレのトンネルを脱却する時には、現物資産、それも安定した収益を生み出す「不動産資産」に人気が集まります。そのなかでも、個人でも簡単に始めることができる「ワンルームマンション投資」の注目が高まっています。

現在都心を中心とした利便性の高いエリアや、オリンピックの施設の作られる湾岸エリアなどの投資用マンションが売れているようです。また低金利の恩恵を早く受けるために短めのローンを利用して経費(利息)を軽減させることも一つの方法です。相続対策としてワンルームマンションを複数戸購入されるケースも増えています。中には外国人投資家などキャピタルゲイン目的で賃貸に出さないというケースも見られるようになりました。

かつて1990年第に発生した金融バブルや、その後の歴史的なデフレなど、経済の世界は予想もつかないダイナミックな動きを繰り返しています。2015年はそんな大きな経済の変貌の年になるかもしれません。

長く続いたデフレや増税に耐え忍び、新しい未来への「パスポート」とするためにも「不動産投資」を始めてみてはいかがでしょうか。


野中清志

住宅コンサルタント
株式会社オフィス野中 代表取締役
宅地建物取引主任者

住宅コンサルタント。マンションデベロッパーを経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。マンションをはじめとする不動産に関する講演・執筆など、多数。

主な著書、連載、コメント掲載など

『週刊朝日』『AERA』(朝日新聞社)、『「売れる」「貸せる」マンション購入法』『ワンルームマンション投資法(改訂版)』 (週刊住宅新聞社)、朝日新聞・広告コラム「住まいの未来」、日経BP SAFETY JAPAN(Web)2012年より連載中 他多数