不動産投資が生命保険の代わりになる理由と覚えておきたいリスクとは

2018.11.1  
レイビー編集長 小泉由貴乃レイビー編集部
不動産投資とは

不動産といえば、人生において高い買い物のうちの一つとして思い浮かべる方が多いかもしれません。
ところが最近、生命保険の代わりに不動産投資を始める方が増えているようです。

そこで今回、「不動産投資は、なぜ生命保険の代わりになるのか」「生命保険の代わりに不動産投資を行う場合のメリットとリスクとは?」の2点について、解説します。



不動産投資には「生命保険効果」が備わっている

生命保険とは、一家の大黒柱が死亡するなどして収入が途絶えてしまうような、万が一の場合に備えて保険金が支払われるようにしておくことで、残された家族の生活を助けるためのものです。

保険金の受け取り方法としては、「全額を一括で受け取る方法」「保険金の一部を一括で受け取り、残りを分割して受け取る方法」「年金のように一定の金額を分割して受け取る方法」などがあります。

不動産投資においても、収益性の高い不動産を残すことができれば、生命保険と同じような効果を期待できます。

残された家族は、「相続した物件を賃貸して家賃収入を得ること」「売却してまとまったお金を得ること」ができるのです。

このように生命保険と同じように、「万が一の場合に家族の生活を家賃収入により支えることができる」ということから最近、不動産投資が注目されるようになりました。

不動産投資が生命保険代わりになる理由

購入時に加入する保険でローン完済が可能

不動産投資のためにアパートやマンションを購入するときは、不動産投資ローンを組むのが一般的です。

その際、多くの金融機関では「団体信用生命保険」への加入を条件としています。

通称「団信」といわれるこの保険は、不動産投資ローンを組んでいる契約者が死亡したり、高度障害者になったりした場合に、ローンの残債を肩代りしてくれる保険です。

契約者にとってのメリットとは?

団体信用生命保険は、もともと「お金を貸した金融機関側のリスクに備えた保険」ですが、実は契約者にとってもメリットがあります。

たとえ、借り入れが残った状態でローンの契約者が亡くなったとしても、保険金から補てんされるので、遺族は「不動産」という資産だけを相続することができます。

つまり、返済負担がない状態で家賃収入が得られる「不動産」を残すことができるということです。

まとまったお金が必要な場合は不動産を売却して現金化することも可能ですし、毎月、家賃収入を受け取ることもできます。
状況を見ながら、収入を得るための手段を選択しましょう。

がん団信について

団体信用生命保険における基本的な保障内容は、「ローン契約者が死亡、もしくは所定の高度障害と診断確定された場合にローンの残債が保険金から返済される」というものです。

しかし、ローンが返済できなくなるリスクは死亡・高度障害だけにとどまりません。

団信の種類によっては死亡保障だけでなく、3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)も保障する内容のものや、7大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中・糖尿病・高血圧疾患・肝疾患・腎疾患)も保障する内容のものがあります。

そのほか、保険会社によってはさらに手厚い保障内容を追加できるオプションを用意しているところもあります。

保障内容が手厚くなるとその分保険料が高くなりますから、ご自身の現況や生活環境などを考慮した上で検討するとよいでしょう。

団体信用生命保険と死亡保険の違い

では、払込金額を例に「団体信用生命保険(不動産投資)」と「死亡保険」を比較してみましょう。

死亡保険は大きく2つに分けられます。
一定期間を保障する「定期」タイプと、保障が一生涯続く「終身」タイプです。

保険比較

定期タイプの死亡保険

定期タイプの死亡保険は、65歳以降の保障がなくなります。

また、トータルで払い込んだ保険料630万円は掛け捨てのため、保障期間が終了してしまえば手元には一切残りません。

終身タイプの死亡保険

一方、終身タイプの死亡保険は、65歳以降に亡くなった場合でも3,500万円の保障は得られます。

しかし、毎月の保険料負担が大きく、定期タイプの死亡保険との払込金額を比較してみると、35年間で1,470万円もの差が出てしまいます。

団体信用生命保険の場合、保険料の払込期間が終了した後も不動産という資産が残ります。
また、不動産を第三者に貸すことで継続的に家賃収入を得ることも可能です。

保険料は安く抑えられ、加入時に年齢が高くても保険料が高くなることはない。
にもかかわらず、終身タイプの死亡保険と同様の保障を受けることができるのです。

不動産投資をすれば生命保険は本当に不要?

生命保険の代わりにもなる不動産投資ですが、投資である以上リスクもあります。

不動産投資は健康が肝心

団体信用生命保険に加入していれば、不測の事態が起こった場合に不動産投資ローンの残高は消滅します。

遺族は相続した不動産を売却することで、まとまったお金を手にすることができます。
物件を保有し続ければ毎月一定の家賃収入を得ることもできます。

このように、将来のための保障を用意できるのが魅力の団体信用生命保険ですが、注意すべきこともあります。

団体信用生命保険も一般の生命保険と同じく、加入にあたっては審査があります。
つまり、健康状態に問題があると加入できないことがあるのです。

将来の備えのために不動産投資を検討するのと同じように、まずは自分自身の健康状態を整えることも念頭におきましょう。

団体信用生命保険の保険料が支払われない

一般の生命保険では、健康状態に問題があると加入できないことがありますが、団体信用生命保険でも同じです。

健康状態を正しく伝えていなかった場合、「告知義務違反」として保険金が支払われないことがありますので注意しましょう。

また、けがや病気で働くことが困難になったとしても、支払事由に該当する高度障害状態でなければ、保険金が支払われない場合もあります。

不動産収入を得られる保障があるわけではない

不動産投資には、常に空室リスクがあります。

所有している物件が空室の場合、当たり前ですが家賃収入を得ることができません。
こうなると、残された家族の生活を守ることができなくなります。

それどころか、不動産を持っていることで管理費や委託手数料、修繕費などの費用がかかり、かえって負担になってしまう可能性も考えられるでしょう。

もう一点、気をつけなくてはならないことがあります。

それは、物件は築年数を重ねれば重ねるほど、一般的には家賃が下がるということです(リフォームや修繕などをして付加価値を高めている場合は例外です)

家賃収入が月々のローン支払い額より下回ってしまうと、固定の支出が家計を圧迫することになるでしょう。

希望の価格ですぐに売却できるとは限らない

物件を売却して現金化したいと思っても、物件によってはなかなか買い手が見つからず売却時期が遅くなったり、想定していた売却額よりも低くなったりする可能性もあります。

物件を売却するには、売却完了まである程度の期間が必要になることを、念頭に置いておきましょう。

また、35年間ローンの返済を続け、返済が終わったときに売却しようとしても、築30年以上経っている物件の資産価値が変動している可能性があります。

自然災害などのリスクがある

火災や地震、気象災害などにより、大切な物件を失ってしまう可能性がないとはいい切れません。

いつ自然災害の影響を受けるか予測できないので、損害を最小限に抑えるためにも火災保険や地震保険に加入しておく必要があります。

保険会社によって補償の範囲を選ぶことができる商品も多数ありますので、必要に応じて補償内容を選択しましょう。

ただし、あまりに過度な補償や重複した補償をつけることで火災保険料が高くならないよう、余計な補償がないか確認することも大切です。

家賃収入だけで生活費を全て賄えるわけではない

不動産投資で購入する物件が、区分マンション1室の場合、一等地で家賃が高かったとしても、家賃収入だけで家族全員の生活費を全て賄うのは困難です。

これだけでは、生命保険の代わりとしての役割は果たし切れないでしょう。

ただ、公的年金制度の中には遺族年金があります。
ご自身のケースは遺族年金がいくらくらいもらえるのか、まずはその金額を把握しましょう。

その上で、生命保険はどれくらいの金額のものに加入をすればよいのか、不動産投資であればいくらくらいの家賃収入が得られれば足りるのか、そのあたりも計画した方がよいでしょう。

不動産投資家が加入すべき保険

リスクを補償する3つの保険

ここでは、視点を少し変えて、不動産投資を行う場合、その物件に対するリスクを補償するために加入すべき、3つの保険を紹介します。

①火災保険

建物が火災に遭い、損害を受けた場合に補償してくれる保険です。火災保険という名称なので、火災による損害しか補償されないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は広い範囲の損害が補償されます。

保険会社ごとに多少異なりますが、一般的な補償内容は次のとおりです。

  • 火災、落雷
  • 破裂・爆発
  • 風災、雹災(ひょうさい)、雪災
  • 水災
  • 水濡れ
  • 盗難 など

補償範囲を決められる商品もありますので、必要に応じて選択しましょう。

②地震保険

地震が原因で火災が発生した場合、火災保険にしか入っていないと補償の対象外となることがほとんどです。地震保険は原則、単体での加入はできないので、火災保険と併せて契約します。

③施設賠償責任保険

所有している物件に不備や欠陥などがあり、そのことが原因で入居者など建物の中にいる人にけがを負わせてしまった場合や所有物を壊してしまった場合などに適用される保険です。

物件の所有者としての責任を果たすという意味でも、加入しておくべき保険といえるでしょう。

ただし、区分マンションの場合はマンションの管理組合で加入しているケースがほとんどなので、この保険に関してはアパートやマンションを一棟で所有する場合にのみ、特に意識をすればよいでしょう。

3つの保険の加入方法

不動産投資をするにあたって、火災保険への加入は必須、地震保険への加入は任意、施設賠償責任保険への加入は投資不動産の種類による、といえます。

この3つの保険は、物件を購入した際の売り主である不動産会社や、仲介を担当した不動産会社経由で加入することがほとんどです。

不動産会社が保険代理店の資格を持っている場合もあれば、懇意にしている保険代理店を紹介してくれる場合もあります。もちろん、インターネットで検索するなどして、自分で加入する保険を選ぶことも可能です。

保険に加入する際の注意点

保険会社ごとに細かな補償内容が異なりますので、加入の前にきちんと内容を把握しておく必要があります。

また、「必要な補償がついているか」「特約により過剰な補償になっていないか」「複数の保険で重複した補償内容になっていないか」を併せて確認しましょう。

余分な補償を省くことで、保険料を抑えることができます。

所有物件が被害を受けた場合

いつ、何が原因で物件が被害を受けるかわかりません。

いざというとき、確実に保険金を受け取ることができるように、被害のあった箇所を写真撮影するなどして、記録に残しておきましょう。

その際、被害の発生日時と写真撮影日を正確に記録しておくことで保険会社が整合性を取りやすくなるため、保険金を受け取るためのやりとりもスムーズに進みます。

不動産投資や生命保険の悩みはFPに相談

不動産投資を始めたいと考えた時、頼りになる相談相手のひとつがFP(ファイナンシャルプランナー)です。

お金に関するエキスパートなので住宅ローンや保険、税金、投資、老後の資金作りなどが相談できます。

FPに相談するメリットは、FPが利害関係のない「第三者」であること。
投資について客観的な視点から経済状況を分析し、最適な投資プランを提案してくれるはずです。

とはいえ、FPは不動産投資の専門家ではないことも理解しておきましょう。

「木造アパートとRCのマンション、どちらを選ぶべきか」「購入価格を値引きする方法は」といった不動産投資の具体的なテクニックには、精通していないかもしれません。

相談するFPを探すとき、自らが不動産投資を行っているFPを探してみてください。

このほか不動産投資を経験した人や、不動産投資会社なども相談相手として考えるとよいでしょう。

まとめ

繰り返しになりますが、生命保険は万が一の場合に残された家族の生活を助けるために加入するものです。

保障金額や月々の払込保険料などは、家族構成や現在の状況、ライフスタイルに合わせて決定しますが、不動産投資の場合も同様です。

ローン返済と家賃収入などのバランスを考慮し、投資物件を選定していきましょう。

メリットもリスクもあるので「不動産投資をしていれば生命保険が不要」とは一概にはいえません

ただ、すでに生命保険に加入している方で、これから不動産投資をはじめたいと考えているのであれば、保険見直しの良い機会にはなります。

今回取り上げた内容を理解した上で、生命保険の代わりとしての不動産投資を検討してみましょう。

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レイビー編集長 小泉由貴乃

監修:小泉 由貴乃(レイビー編集長)

管理業務主任者、マンション管理士、3級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後、衛生用品メーカーで経理業務を担当。2016年 株式会社グローバル・リンク・マネジメントに入社。建物管理部門に所属し、マンション管理士、管理業務主任者の資格を活かし、管理組合の管理事務に携わる。2019年 レイビーのサイトリニューアルを機に、レイビー編集長に就任。マンション管理業務で得た知識を生かして、コンテンツ制作のディレクションを担当。出社前のジム通いが日課で、趣味はグルメ探索と実家のうさぎを愛でること。 レイビー公式Twitterアカウント(@R_E_I_B)

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