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不動産投資をはじめるなら最低限知っておきたい物件の修繕とは?
不動産投資における物件の修繕・補修は、運用を成功させるための非常に大切な要素です。物件の修繕管理が適切に行われていなければ、物件の資産価値を維持することができず、入居率が下がり、安定した家賃収入を確保することが難しくなってしまうかもしれません。
では、不動産投資をする上で、物件の修繕・補修とは、一体どのようなものを指すのでしょうか?
物件の修繕・補修は入居者獲得のための基本
物件の資産価値維持・向上は不動産投資を成功させるカギです。
不動産投資を成功させるためには、空室をできるだけ少なくして安定した家賃収入を確保することが大切です。しかし、物件を購入してから管理や修繕をおろそかにしてしまうと、物件の資産価値を維持することができず、空室リスクが高まります。
常に大規模な修繕やリフォームをする必要はありませんが、点検や修繕・補修を定期的に実施しておくことは、物件の資産価値を維持し、空室リスクを低減させることにつながります。日常的な補修や点検に加えて、通常、10~13年目には大規模な修繕を行うことになるため、必要な費用を計画的に貯めておきましょう。
修繕はオーナーの義務?
物件の資産価値を維持するための修繕や管理は、オーナーの義務なのでしょうか?
そもそも不動産投資とは、「貸主が物件を借主に賃貸し、対価として家賃を得ること」です。法律では、民法第606条に「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」(賃貸人=オーナー)と定められています。
とはいえ、賃貸借契約に従った合理的なものであれば、賃貸借契約を締結する際に「修繕に関する特約」を結ぶことで、どこまでの修繕を賃借人が実施し、どこからの修繕をオーナーが実施するかを定めることができます。
賃貸借契約の本質は、「建物を使用収益させること」です。建物の構造部分(屋根、壁、柱、床など)のほか、設備(住宅用火災警報器、玄関扉の錠など)などオーナーが提供しているものに対しては、オーナーが修繕義務を負うと考えてください。なお、修繕が必要となった原因が賃借人にある場合は、「修繕費用を賃借人に負担させる」ということを特約に定めておくべきでしょう。
修繕のための資金を計画的に貯めておく
不動産は時間がたつと劣化してしまうため、物件の資産価値を保つためにも、定期的な補修は必要不可欠です。また、10年以上経過した物件であれば、外壁工事や屋上の防水加工など、大規模な修繕が必要になることも忘れてはいけません。不動産投資をはじめる前に、将来的に必要になる修繕費として資金を積み立ていくことについても考慮しておくようにしましょう。
ワンルームマンション投資には修繕積立金がある
ワンルームマンションを購入した場合、いつどのような修繕をするかの指針になる修繕計画をマンション管理会社から受け取ることになるでしょう。
マンションの一室を購入して運用する場合、マンション共用部分に関する修繕のために、毎月約5000~1万円を修繕積立金として購入をしたマンション管理組合※に支払います(平米数によって異なります)。そして、その修繕計画に基づき、修繕積立金を使用して修繕を実施します。
※マンション管理組合は、そのマンションのオーナーで組織されます。
修繕費や修繕積立金も経費として扱える
マンションやアパート経営をするようになって家賃収入を得ると、自分自身で確定申告を行う必要があります。不動産収入に対し、かかったコストは経費として計上できます。建物やクーラーなど付帯設備の修繕や、数年~十数年に一度の大規模な修繕に向けて行う修繕積立金もそのひとつ。経費として計上できる支出になりますので、正確な納税はもちろん、節税のためにもきちんと把握しておきましょう。
修繕費や修繕積立金は実際に修繕が行われ、完了した日の年分として計上できる支出です。しかし、一定の条件を満たせば支払いをした年分の経費に計上することが認められています。国税庁が修繕積立金に関して公式サイト上で詳しく見解を示しているので、よく目を通しておくとよいでしょう。
物件の主な修繕項目
物件を10年以上所有している場合、大規模な修繕工事が実施される可能性が高くなります。その際の主な修繕項目は、次の通りです。
①屋上・ルーフバルコニー
13年程度で、屋上やルーフバルコニーの防水工事が必要になります。防水工事を定期的にしなければ、漏水事故の原因になるだけではなく、雨水の浸水によって建物自体の劣化が早く進んでしまいます。また、必要な時期に防水工事を行わなかったために漏水が起き、それが原因で感電や漏電火災など大きな事故につながってしまう可能性もあるのです。
②外壁
建物の耐用年数を延ばすためにも、外壁塗装工事は欠かせません。美観を保つための塗装だけではなく、ひび割れやさびなどの補修も実施します。多くの場合は12~13年周期で工事が必要になります。
③床
共用部分の廊下や階段、バルコニー床など、普段から雨にさらされている部分の防水工事を実施します。工事をする周期は12~13年です。
④鉄部塗装
共用部分の鉄製でさびやすい部分(鉄骨階段、手すり、鋼製扉、メーターボックス、消火栓ボックス、各戸玄関ドア枠、エレベーター扉、駐輪場ラックなど)のさび落とし・塗装を実施します。修繕の周期は約5年です。
⑤給水・排水設備
給水管や排水管は約25年で交換が必要になります。給水設備の修繕は給水ポンプの補修、給水管や貯水槽、水道メーターの交換や塗装などが、排水設備の修繕は排水ポンプや排水管(汚水管・雨水管)の交換などがそれぞれ対象です。
特に排水設備は、故障した場合、排水が逆流・漏水してしまう可能性があり、建物への被害がとても大きいことから、大規模な修繕はもちろん、日頃から定期的に点検しておくことが不可欠です。
⑥ガス・電気設備
ガス設備は25年程度で交換しましょう。電気設備に関しては、共用部分の照明や外灯などを定期的に点検し、球が切れていたら早急に交換する必要があります。また、マンション全体でインターネットを使用している場合やオートロックがある場合も、定期的な点検やメンテナンスが必要です。
⑦消防設備
火災報知器や表示灯などの消防設備は、定期的な点検が義務付けられています。修繕は20年程度で行うことが一般的ですが、点検の際に修繕が必要であると判断した場合は迅速に対応するようにしましょう。
⑧エレベーター
エレベーターにも定期的な点検が義務付けられています。エレベーター本体のリニューアルは約30年で実施することが一般的ではあるものの、エレベーター内のクロスや照明は定期的に交換するようにしましょう。
⑨その他
掲示板や集合ポスト、自動ドアや耐震・バリアフリー工事などの設備に関しては、普段から定期的に点検をし、必要であればその都度、修繕・補修を行います。
修繕の中でも水回りが特に大切
水回りの点検や修繕はとても重要です。水回りの点検を怠り、キッチンや浴槽、トイレの設備が故障して水漏れしてしまった場合、修繕費用が他の設備と比較して高くつくだけではなく、漏水によって物件の劣化を進めてしまうことになります。
ワンルームマンションを購入して運用していた場合、水漏れが起こると、他のオーナーが所有している部屋にも影響を及ぼしてしまうかもしれません。
実際に故障して大きな被害が出てしまう前に、日頃から少額の費用をかけて定期的に点検をしておきましょう。
区分所有法によって修繕対象は「専有部分」と「共用部分」に分かれる
区分所有建物であるワンルームマンションを購入した場合、「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法・マンション法)が適用され、建物は専有部分と共用部分に分類されます。このうち、共用部分については将来必要になる修繕工事の費用を積み立てることになります。これが、いわゆる「修繕積立金」です。
修繕積立金は、マンションの所有者で構成された管理組合が管理します。
修繕計画に基づいた修繕費用を資金計画に必ず組み込もう
不動産投資用の物件を購入する場合、購入資金や家賃収入に関する資金計画はほぼどなたでも作成するものですが、物件の資産価値を維持するため、修繕費用も資金計画に入れておくことが必要です。
なぜなら、物件の修繕では、想定より大きな金額が必要になることもありますので、もし、資金計画の中に修繕費用を含んでいなければ予想外の出費が生じ、資金繰りに困ってしまうことも十分考えられるからです。
従って、修繕計画を確認し、修繕費用を積み立てておくことは不動産投資の絶対条件とお考えください。
管理組合に修繕計画の有無を確認する
物件を購入する前に、マンションの管理組合に修繕計画があるかどうかを確認してください。新築のマンションの場合は竣工時に管理組合が結成され、マンション管理会社が修繕計画を提案してくれます。そのため、ほとんどのマンションでは管理組合で修繕計画を作成して、その計画通りに修繕を実施することになりますが、古いマンションなどでは修繕計画がないケースがあるので、中古マンションを購入する際は特に確認をした方がよいでしょう。
マンションの修繕計画がない場合、いざ修繕が必要になったときに費用が不足していたり、修繕が中途半端になったりするおそれがあり、修繕が中途半端になってしまうと、早晩結果として再度修繕が必要となって、かえって費用がかさんでしまうことも考えられます。
綿密に修繕計画を作成する
購入したいマンションに修繕計画があった場合でも、計画の内容が大雑把すぎることもあります。修繕の時期や予算の計画が細かく設定されていない場合、修繕計画がないマンション同様、修繕費用が足りない、必要な修繕が実施できないといった事態もあり得るでしょう。
修繕計画が適切かどうかは、管理会社に相談して判断
もっとも、物件の購入時にマンションの修繕計画を確認しても、見せられた修繕計画が十分かどうかを自身で判断することは通常、難しいと思われます。そこで、あらかじめ利用している不動産会社や管理会社に相談し、妥当な修繕計画であるかどうかを確認しておくことをおすすめします。
修繕計画を把握していない管理会社は避けよう
管理会社への委託を検討するときには、次の2点を確認しましょう。
・長期修繕計画がきちんと整備されているか
新築マンションに投資する場合、長期修繕計画を整備していないケースはあまり考えられません。しかし、中古マンションは築年数によって長期修繕計画を整備していない物件もあります。
長期修繕計画がなければ将来の大規模修繕に備えられず、急に多額の出費が発生してキャッシュフローが悪化したり、大規模修繕や建て替えが行えないことになればマンション価値が低下する可能性もあるのです。
・修繕計画を把握しているか
管理会社が長期修繕計画を把握し、状況に応じて管理組合に随時アドバイスを行ってくれるかどうかを確認しましょう。中古マンションに投資を考えているならば、長期修繕計画をきちんと把握していない管理会社が管理している物件は選択肢から外すのが無難です。同時に長期修繕計画に則って修繕が進められているかも確認をしておきましょう。
修繕・補修のための資金は、計画的に積み立てよう
不動産投資において、物件の価値を維持するための修繕・補修はとても大切です。どんなに立地やエリアの条件が良くても、築年数が経過すれば物件は劣化するもの。修繕・補修を怠り、物件の資産価値が下がれば、空室リスクが高まってしまうでしょう。
いざ修繕が必要になったときに「しまった!」とならないためにも、修繕・補修用の資金を計画的に積み立てておくことを、おすすめします。
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監修:小泉 由貴乃(レイビー編集長)
管理業務主任者、マンション管理士、3級ファイナンシャル・プランニング技能士