第3回「真の国際都市、東京」

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都市政策視点でみた東京の魅力2015

【第三回】真の国際都市、東京

2020年の東京オリンピック後、経済が低下して不況になることが心配されています。しかし、新国立競技場建設問題でも浮上したサッカーワールドカップ招致など、オリンピックで整備したインフラが活かせる可能性も出てきました。

2025年頃に整備されてくる都市インフラ

2020年の東京オリンピック後をどうみるか。東京の魅力を語る上では、これが大きなテーマとなるのは、今も変わりませんが、建設関係では2018年頃には、今の旺盛な需要、投資意欲が一旦収まってくるのではないかといわれています。それは、オリンピック後を見据えて新たな投資を見直す時期に入るからです。その頃になれば、現在の高騰した建設コストも一段落するのではないでしょうか?

但し計画された都市開発のプロジェクトは着々と進行していきます。前回のコラムでも書きました東京駅直結の羽田空港への新線プロジェクトやモノレールの延伸、また現在大規模に進めている渋谷の再開発、品川・田町間の新駅周辺の再開発プロジェクトも完成するのは、2025年頃といわれています。2020年東京オリンピックを終えた後も、2025年頃までは、東京の都市整備は進行していくのです。これは東京が真の国際都市となるために、欠かすことができないものです。

東京にこのような都市インフラが整備されると、オフィス需要や住宅需要が供給過多になるのではないかという不安視する意見もありますが、東京オリンピックを契機として世界的なビジネス需要や観光客を呼び込むことができるのではないかという楽観論もあります。さらに、新国立競技場建設で急遽話題となったサッカーワールドカップ招致も成功すれば、さらに日本の玄関となる東京を訪れる外国人も増える事が期待できます。

さらに国内的には、2027年開業のリニア中央新幹線開業によって、名古屋・中京圏も東京圏と一体化した人口5000万人以上の大交流リニア都市圏が誕生します。国際化した都市東京が、経済を牽引していく事は間違いないでしょう。さらに2045年には大阪までの延伸する計画もあります。個人的な意見ですが、この大阪までの延伸はもっと早い時期に進めていくことが望ましいと思います。大阪の都市集積は日本にとって非常に大切なものですから、それをつなぐためのリニア中央新幹線の延伸は不可欠です。できれば2045年よりも10年以上は早い段階でなんとか実現して欲しいものです。

世界的に新たな都市政策にチャレンジする東京

一方、現在の政府の移民政策を前提とすると、国立社会保障・人口問題研究所が算出した人口推計では、東京でも2025年位から人口が減少することが予想されます。一方、東京のライバルであるロンドンやニューヨークは、移民国家であることから人口は増え続けていくといわれています。社会的にみれば、人口が増え続ける都市と人口が減少する都市では、人口が増え続ける都市の方に軍配が上がるのではないかという意見も出ています。

この中で最も心配されているのが、東京の労働人口が減少していくという不安です。これに対してはオリンピックを契機に国際的な魅力が高まり、外国企業などの進出も増えて、大交流リニア都市圏として多くの人が東京に集まってくるようになれば、そのような問題も解決できるかもしれないというのが不安解消の期待です。また、IT技術や自動化技術が進歩することで、就業者一人当たりの生産性を高めることも期待されます。いずれにしても、世界的に新たな都市政策にチャレンジする国際都市東京を目指していくことになります。世界的にも、東京の都市政策が注目されています。

2040年危機を乗り越えるための社会遺産づくり

私は、東京の都市政策を考える上で、2030年から2045年の15年間は、「静かに生きる期間」であると位置付けています。この期間には若年就業者よりも高齢者の方が多くなり、年金制度も危機を迎えます。そこで、2030年までにできるだけ多くの都市インフラの整備を進め、2030年以降は、新たな社会資本の投資を控える「静かに生きる期間」に当てられるようにするのがよいと思います。

新国立競技場建設で盛んに「負の遺産」の議論がなされましたが、日本経済が失速してしまうと、どのようなものであっても「負の遺産」になってしまいます。ですから未来を見据えて縮小均衡することばかり追求するのではなく、多くの社会的な遺産を整備して、それを活かす方向で都市政策を進めていくことが大切です。 そのためには、今から5年後のオリンピック、様々な都市インフラが整備される2025年から2030年までの仕上げを経て、できるだけ多くの社会遺産の整備をしていく必要があります。この時期は、東京はもちろんのこと、日本の命運を左右する重要な時期なのです。

2025年から2030年までに都市インフラの仕上げが出来ずに中途半端になってしまうと、その後の「静かに生きる期間」にも多額の都市インフラを整備する必要に迫られ、日本経済が失速する可能性も出てきます。そういう意味では、これからの10年から15年が本当の勝負なのです。私たちの未来を支える、東京の都市政策を注目していきましょう。

執筆者プロフィール
市川宏雄(いちかわひろお)

市川宏雄(いちかわひろお)

明治大学専門職大学院長
公共政策大学院ガバナンス研究科長・教授

1947年、東京生まれ。
早稲田大学理工学部建築学科、同大学院博士課程を経てカナダ政府留学生としてウォータールー大学大学院博士 (Ph.D.)。
一級建築士。専門は都市政策、都市地域計画、危機管理政策、次世代政策構想。
現在、森記念財団都市戦略研究所理事、日本テレワーク学会会長、日本自治体危機管理学会常任理事、日本危機管理士機構理事長など。
著書・共著に『東京五輪で日本はどこまで復活するか』(KADOKAWA)『リニアが日本を改造する本当の理由』(メディアファクトリー)、『東京の未来戦略』(東洋経済)、『日本の未来をつくる』(文藝春秋)、『文化としての都市空間』(千倉書房)など多数。